報告
前回は2年前の9月で、オオソリハシシギやミヤコドリ等、潮の引いた砂州に来ていたシギ・チドリ類が中心の観察会でしたが、今回は少し季節を変えてみたところ、加えてスズガモ・ハジロカイツブリ等が海面に降りていました。満潮は9:54干潮は14:55。
到着した時はまだ足元まで潮が満ちていましたが、時間が経つにつれて、遠浅の海岸線が現れ、鳥の動きも活発になって、見応えのある観察会になりました。
三番瀬(三番瀬の案内パンフレットより抜粋編集)
浦安から市川・船橋・習志野の海岸線に包まれ、東京湾最奥部の沖合に広がる1,800ヘクタールに及ぶ浅い海域は、通称「三番瀬(さんばんぜ)」と呼ばれ、その一部は潮が引けば広大な干潟となって現れます。三番瀬は都市部に現存する干潟として、世界でも貴重な存在で、ラムサール条約の登録湿地で有名な「谷津干潟(習志野市)」と同じように、地球上に残された数少ない湿地として、魚や鳥など生き物の命をつむぎ、またそこに住む小さな生き物たちが有機物や植物プランクトンを食べることによって、環境の浄化にも貢献してくれています。この三番瀬だけで下水処理場の13万人分に相当し、そのうえ処理場では浄化し切れないリンや窒素も浄化してくれるそうです。
こういう環境ですから、当然野鳥達も見逃さず、特にシギやチドリ等、長距離の渡りをするものにとっては、格好の休息場所・餌場となっているのです。晩秋から冬にかけてはスズガモはじめ多くのカモ達もやって来ます。この素晴らしい環境が末永く保たれるといいですね。
ミヤコドリとユリカモメ (前回の解説文再掲)
『伊勢物語』の「東下り」の段では、在原業平の歌で「都鳥」が出てきますが、これは現在の鳥類図鑑に出てくる今回観察種「ミヤコドリ」のことではなく、「ユリカモメ」のことであろうという説が有力です。
なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。
~(中略)~
さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を
食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、「これなむ都鳥」と
言ふを聞きて、 『名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと』
よめりければ、舟こぞりて泣きにけり。
このように「都鳥」は「隅田川にいる鳥で、体が白く、嘴と脚が赤い、シギ程度の大きさ、魚を食べる水鳥」とされていますが、この条件に当てはまる鳥としてはユリカモメが最も近いので、「都鳥=ユリカモメ」と推定されているのです。なお、今回観察された本物のミヤコドリは、嘴と脚が赤いものの体色は黒と白であり、食性はカキなどの貝類を食べます。ただ現在の京都ではユリカモメは鴨川などで普通に見られるありふれた鳥ですが、鴨川に姿を見せるようになったのは、1974年からのことだそうで、それ以前は「京には見えぬ鳥」であったらしい。どうも伊勢物語に出てくる渡し守の知識が、この名称騒動の発端のように思えます。今では業平の歌に出てくる「いざこと問はむ都鳥」に因んで「言問橋(コトトイバシ)」と名付けられた橋が隅田川に架かっています。(へえー!そうだったのか!)
観察種
オナガガモ、スズガモ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、オオバン、
ミヤコドリ、ダイゼン、シロチドリ、オオソリハシシギ、ハマシギ、ユリカモメ、ウミネコ、チュウヒ、コゲラ、モズ、
ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒヨドリ、ツグミ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、カワラバト
(計 27種)
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