東京都・首都圏支部
作成 戸谷 輝夫


  こんな都会の片隅にも野鳥は思いのほか元気に生きています。
  関心をもてば彼らの生き様が見えてきます、聞こえてきます。
  さあご一緒に野鳥との出会いを楽しみにお出掛けになりませんか。
  初心者歓迎!ご一緒に野鳥観察を楽しみましょう
9月行事の実施報告   

 場 所  三番瀬海浜公園(船橋市) 

 日 時  平成26年9月15日(日)10:00~14:30

  コース 船橋駅~(バス)~船橋海浜公園
      海岸西エリア~海岸中央エリア(昼食)~海岸東エリア&突堤
      船橋海浜公園~(バス)~船橋駅前
(日本海庄や/懇親会)

 参 加 者  杉山英夫、細井忠雄、尾原 武、石毛稔恭、榎本正治、
 (敬称略) 野口隆也、石原幸子、植村光子、佐藤正弘、田口春一郎、
     野口和子、高橋佐紀子、中嶋 繁、堀田敏江、 小松裕一、
        鵜飼順子、小川嘉子、小池紀子、福津 恒、戸谷輝夫、
        山崎雄一(担当)、倉光幸司(担当)
                                 [計 22名]

 

都鳥
 (ミヤコドリ)
報告
 前回訪れたのは7年前の平成19年5月で、ちょうど潮干狩りシーズンとぶつかり、人出が多かったと記憶していますが、今回はオフシーズンのため、ゆっくりと観察が出来ました。満潮が9:06、干潮が14:40のため、海岸に到着した時には、徐々に潮が引いてきており、長靴やビーチサンダルで、浅い水辺を歩きながらの観察が魅力でした。

三番瀬 (三番瀬の案内パンフレットより抜粋編集).
 浦安から市川・船橋・習志野の海岸線に包まれ、東京湾最奥部の沖合に広がる1,800ヘクタールに及ぶ浅い海域は、通称「三番瀬(さんばんぜ)」と呼ばれ、その一部は潮が引けば広大な干潟となって現れます。三番瀬は都市部に現存する干潟として、世界でも貴重な存在で、ラムサール条約の登録湿地で有名な「谷津干潟(習志野市)」と同じように、地球上に残された数少ない湿地として、魚や鳥など生き物の命をつむぎ、またそこに住む小さな生き物たちが有機物や植物プランクトンを食べることによって、環境の浄化にも貢献してくれています。この三番瀬だけで下水処理場の13万人分に相当し、そのうえ処理場では浄化し切れないリンや窒素も浄化してくれるそうです。

 こういう環境ですから、当然野鳥達も見逃さず、特にシギやチドリ等、長距離の渡りをするものにとっては、格好の休息場所・餌場となっているのです。この素晴らしい環境が末永く保たれるといいですね。

ミヤコドリとユリカモメ
 『伊勢物語』の「東下り」の段、在原業平の歌で「都鳥」が出てきますが、これは現在の鳥類図鑑に出てくる
「ミヤコドリ」(今回観察種)のことではなく、「ユリカモメ」のことであろうという説が有力です。

 なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。(中略)
 さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥
 なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて、
 『名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと』とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。

 このように「都鳥」は「隅田川にいる鳥で、体が白く、嘴と脚が赤い、シギ程度の大きさ、魚を食べる水鳥」とされていますが、この条件に当てはまる鳥としてはユリカモメが最も近いので、「都鳥=ユリカモメ」と推定されているのです。なお、今回観察された本物のミヤコドリは、嘴と脚が赤いものの体色は黒と白であり、食性はカキなどの貝類を食べます。ただ現在の京都ではユリカモメは鴨川などで普通に見られるありふれた鳥ですが、鴨川に姿を見せるようになったのは、1974年からのことだそうで、それ以前は「京には見えぬ鳥」であったらしい。どうも伊勢物語に出てくる渡し守の知識が、この名称騒動の発端のように思えます。今では業平の歌に出てくる「いざこと問はむ都鳥」に因んで「言問橋(コトトイバシ)」と名付けられた橋が隅田川に架かっています。

観察種

  カワウ、アオサギ、ダイサギ、ダイゼン、メダイチドリ、オオソリハシシギ、キアシシギ、
 トウネン、ミヤコドリ、ウミネコ、セグロカモメ、コアジサシ、ヒヨドリ、セッカ、
 スズメ、ハクセキレイ、ドバト        
(計 17種)

案内人(山崎雄一・倉光幸司)、記事(戸谷)、写真(野口隆也・山崎雄一・戸谷輝夫) 



船橋海浜公園 三番瀬にて

オオソリハシシギ
(嘴の先が上に反っていて、上手に餌を採ります))

広大な干潟を眺める
(これからどんどん潮が引いていきます)

*このページは低速通信利用者に配慮して画像解像度を押さえて作成しています。
 右の「スナップ写真コーナー」では、ここでご紹介出来なかった画像も含めて、
 少し解像度を上げた写真(拡大可)を掲げて、当日の雰囲気をお伝えしています。
 
スナップ写真コーナー
(アルバムに写真多数)