〜 隠された負の遺産 足尾・松木村跡を歩く 〜

              撮影:2013/8/27 提供:横尾会員      


 私たち栃木支部が、足尾の緑化を願って植樹を続けている山すそを、
    左に巻いて進むと松木村跡で、息をのむような異様な景色が広がる。
    1960年までの約50年間、精錬所のカラミ(残滓)を投棄し続けた堆積場(山)
    が不気味に迫る。路傍には、鉱毒を吸って黒ずんだ数基の墓石が佇む。

   
 


百年来の煙害で、草木は死滅し、表土が流失した中央の岸壁は、
    「足尾のジャンダルム」と呼ばれ、時折クライマーが姿を見せるという。
 




 江戸後期の記録によると、ここ松木村は肥沃な畑が広がり、37戸170人
    もの村人が暮らす、足尾郷最大の村であったという。明治後期、激化した
    下流の古河鉱山精錬所の煙害で、立ち退きを余儀なくされた。

  

 

皇海山(すかいさん)を源流とする松木峡谷。前日の大雨にもかかわらず
    青く澄んだ水の流れである。山の緑が回復してきたからだという。