"蛍"の里を芥川流域にめざして!
西 地区 松尾 昇 さん |
||||||
松尾 昇さん 自 宅の研究室にて |
|
|||||
|
||||||
実
験で飼育の前期は、産卵〜孵化〜幼虫(6齢)で、
小容器に幼虫100匹を入れて3日毎に水替えと餌やり(カワニナの肉を取り出して、細かく刻んで与える。)を6ヶ月余り続け、その後幼虫を実験装置へ放流
し、飼育の後期に入ります、放流された幼虫は装置内で飼育されていたカワニナを自力で捕食して大きくなり、4月頃に土にもぐりサナギになり、5月の中旬頃
から羽化して成虫になります。この間(後期)6ヶ月余りを注意深く見守るそうです。 |
||||||
幼 虫 | カ
ワニナを食べる幼虫 |
|||||
成 虫 |
4月初め頃、幼虫が水中から土へ上がる階段部分で、頭を上に体半分ほどを空気中に晒す不思議な現象が10日間ほど現れました。初めて目にする光景に酸欠で
はないかと心配になったそうです。幼虫は水中では“エラ呼吸”ですが、サナギからかえると空中では“肺呼吸”で酸素を取り入れます。
|
|||||
自宅に置かれた装置 |
||||||
|
|
|||||
幼
虫保育容器 70箱
14,000匹 |
蛍
の一生の観察装置(池の中で使用) |
|||||
|
|
|||||
“蛍
の小川”でのカワニナの増殖には公園内行為許可書が必要であり、平成18年に申請されました。 こ
の間、平成14年に蛍発生の拠点“蛍の小川”の水路が工事によって流れが途絶えたため、生息していた蛍の幼虫やカワニナが全滅に等しい打撃を受け、地道な
活動を踏みにじられるような事態にも遭遇されました。この時は“ほたるの小川“の水路を仮設し、工事現場で捕捉した幼虫を保護したそうです。
平成 19年には、芥川の西之川原橋上流再生水路の整備・水量管理、カワニナの放流と増殖、川辺の除草など新たな「蛍にやさしい環境づくり」を目指す取組みも展 開されたそうです。
|
||||||
水 路の整備作業 |
蛍 を守る会のメンバー(松尾さん 右端) |
|||||
蛍
増殖の研究にあたっては、茨木市の西河原公園で蛍の幼虫飼育の指導を受け、大場信義先生の著書「ホタルの飼い方と観察」で蛍の生態・生息環境・飼育の仕
方・装置について、遊磨正秀先生・生田和正先生の著書「ホタルとサケ」で自然環境との関わりについて夫々勉強されました。また、滋賀県守山市の蛍保護条
例、たかつき環境市民会議、また水環境保全グループにおける蛍の研修会での講師のお話や、メンバー相互の情報交換などを参考にしながら、まさに試行錯誤の
連続だったそうです。 一 方、蛍の発生状況調査活動では、平成15年から20年までの6年間、摂津峡下の口〜あくあぴあ、 芥川 周辺を8区分した区域、上の口、原、樫田(しょうぶ園)、二料地区にわたり、蛍の発生から、消滅 まで と、併せて幼虫の餌になるカワニナの生息地を調査し、総合的なデータ収集をかさねられました。 こ こ芥川で生息する蛍は芥川の環境に適合しており、他の地域から移入する行為は厳に慎み、その環境が実体験出来る教育的な場所・空間づくりの必要性に駆られ て、平成19年3月「蛍を守る会」を結成し、“蛍を守ることは、生態系を守ること”の信念のもとに代表を務めておられます。 |
||||||
発 生状況の調査 |
●6月『ゲン ジホタル観察会』を開 催 ● 場所:摂津峡下の口〜あくあぴあ芥川周辺 |
|||||
|
||||||
“ほ たるの小川”に幼虫を放流して蛍の発生を促すために、賛同者を増やす努力をされているそうです。 「蛍 の生態系を甦らせ、蛍の乱舞する回廊にしたい。この自然の空間で幼児から高齢者までが、身近で・安全で・くつろいで、蛍の観賞が出来る自然環境をつくり、 童謡・唱歌に唄われた“蛍”で、子供たちには夢を、高齢者には郷愁で心を癒してもらえる。こんな“蛍の里”を芥川流域に実現しましょう!」 これ が、地域に住む人々に呼びかけたいことです。と力強く語っておられました。 モットーは、 夢 芥川 清水ホタル回廊実現をめざして 夢はあきらめなければ、必ず実現する。 いま まで嬉しかったことは、蛍の発生数が増えてきて、観察に集まった人たちが歓声を挙げて喜んでいる姿を見たとき、苦労が報われたという気持になり目頭を押さ えたそうです。 お仕
事は、と聞いてみると、即座に蛍の飼育(ボランティア)、自称“蛍の研究家”と言って笑っておら
れました。その顔には、“けなげに光を放つ蛍”を愛し、自然を愛する気持が溢れ輝いていました。まさに、“輝く人”です。 |
||||||
蛍 の生態系について話をされる松尾さん |
芥 川緑地公園 |
|||||
|
||||||
取材 : 信開 正二、佐古 年夫 文責 : 佐古 年夫 写真 : 松尾 昇氏 提供 |
||||||
輝く人々に 戻る |