陶芸に魅せられて
             大阪工芸協会正会員
                
入江 平治 氏


  入江さんのお宅をたずね 応接間に通されてまずびっくりするのが 部屋いっぱいに陶芸の作品が

並べられていることである。 見事な作品が 飾り棚だけでなく 部屋のまわりに置かれた作品を載せる

台にも展示され


そのうえ床にまで大きな作品がごろごろと並んでいる。

数は 100作品以上あるように思われた。


 





大阪工芸展に入選した高さ70センチを超える信楽焼

の壷もそのうちのひとつである


                                                       
大阪工芸展入選作品
                       


 入江さんは 昭和27年同志社大学を卒業 すぐに

松下電器入社され 大阪営業所をスタートに ほとん

ど営業関係の仕事で全国をまわられ 昭和62年に

定年退職された。

 大学学生の頃から やきものには興味があり

骨董品店、茶道具屋なども覗いていたが、陶芸を

趣味としてスタートされたのは 定年後4年ほどして

宇治市朝日窯の教室に陶芸を学び始めた頃からで

ある。

 同じ頃 機会があって丹波立杭焼十代目 「上中

稲右衛門氏」のもとにも通われた。「蹴りロクロ」で

なかなか自分の思った形が出来なかったが、初めて

の作品が窯の自然の力ですばらしい「窯変」となり

感激した。


 作品の数々

 平成5年には 自宅に電気窯陶房 「平安窯」を

作って 作陶の環境をつくられた。

 平成6年から 京都府城陽市の 多喜造窯 

「川村保則先生」に またほぼ同じ頃から 信楽焼

伝統工芸士 「神山一陶先生」のご指導を受けられ

現在に至っている。




 平成9年には陶芸の里 信楽に仲間と穴窯をレンタルし 本格的に信楽 焼をはじめ、毎年2回〜4回の穴窯

焼成を行っている。平成14年に 大阪工芸協会の正会員となり、その前後から 萩焼、備前焼、志野焼などの

各地の窯元を訪ね研修、制作を重ねておられる。


陶芸の里信楽の仲間 前列左端が入江氏

徹夜の窯炊き

信楽穴窯 焼成前


信楽穴窯 焼成後


 平成2年以降松愛会の陶芸部と水墨画の合同

展示会を毎年開催し参加しており 平成4年には 

高槻市美術家協会長賞の受賞を得た。その後 

平成8年には 第8回全国公募IFA美術展に入賞し、

毎年出品している高槻市展でも平成10年の市議会

議長賞をはじめいくつもの賞を受賞している。

平成15年、16年、17年続けて大阪工芸展に入選し

ますます陶芸に魅せられ、その技はますますさえて

きている。

   














高槻市美術展市議会議長賞の壺と トロフィー

 昨年 入江さん喜寿の機会に 奥さんが長年すすめられ

てきた「押し絵」と 入江さんの陶芸をあわせた「夫婦展」を

守口ロイヤルパインズホテルで開催され、多くの方がお二人

の作品を観に来られた。奥様の押し絵も各地の美術展へ

入選される程で すばらしい作品展でした。
平成16年10月

守口ロイヤルパインズホテルで開催した

夫婦展

 入江さんの「平安窯」は 自宅庭に4坪程の陶芸

専用の別棟に 電気ロクロ、電気窯をはじめ陶芸材料

や作品が所狭しとばかり置かれ 余裕さえあれば 

こちらで ゆっくりと作陶に時間をすごされているとのこと。

 釉薬の研究のためのサンプルや データを積み上げた

ノートが見事に整理されている。

 最近は 朝鮮唐津 の釉薬に凝られているということで 

サンプルも多くころがっていた。

 

 データをこまめにつけてサンプルをたくさん作ってやっと

自分が思っていた作品が出来たときの魅力にとりつかれて

いると言う。

 また 同じ釉薬や窯の条件でも 同じような作品が出来

なくて苦労したり 時には予想してなかったような面白い

作品(窯変)にも出会い これが陶芸を魅力あるものにして

いるひとつでもあるということであった。

 平成2年に 松愛会陶芸部を7名のメンバーで結成し 以降年数回の作品展に作品を応募、展示し、

穴窯焼成の世話役や勉強会の開催など積極的に活動をされた。現在はメンバー25名になっているが 

いまでも陶芸部の活動の中心的役割をはたされている。


 地域では 昨年から地域自治会老人会の会長を引き受けられ 年数回の旅行やいろいろな行事を

企画・実施される。 また 同志社大学の水泳部OB会名誉顧問としてもご活躍で あいかわらずお忙しい

毎日のようである。

 最近は それらの書類作成や情報処理や また孫とのメール交換のためにパソコンを勉強し活用を

すすめておられる。

 入江さんのお宅は 応接間といわずお宅の部屋のあちこちにやきものが置かれており 庭にまで

やきものが並んでいるところは、まさしくやきものに魅せられた夢中人である。


文  : 平  英一
写真: 入江 平治   見城 好豊
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