報 告
この行事は松下電器社会文化グループの主催で、今まで年2回のペースで継続開催され、東京野鳥観察会としましても、会員有志で現役時代より協力を継続してきております。なお今回は10回目の記念大会になり、今までの延べ参加人数は今回で250名にもなるそうです。
江戸開府400年にちなんで、今回の記念大会は「江戸大名庭園バードウォッチング」「地下鉄大江戸線による会場移動」「江戸東京博物館での江戸時代の野鳥のお話」等々、「江戸づくし」という盛り沢山の企画でした。
「視覚障害を持つ方々がバードウォッチング?」と疑問にお持ちのことでしょう。
前回もご紹介しましたが、指導員の松田道生氏の解説をお借りすれば、日本野鳥の会の観察会でも、その折に観察された野鳥のうち、鳴き声から発見されたものが全体の70%とのこと、つまり「耳を澄まして!感じて!」というヒアリングがバードウォッチングの基本とのことでした。その意味においても聴覚が鋭くなっておられる視覚障害者にとって、一概に難しいものではないということなのでしょう。
浜離宮恩賜庭園は、もともとは徳川将軍家の鷹狩り場で、四代将軍家綱の弟にあたる甲府宰相の松平綱重の別邸として建設され、以後歴代の将軍の浜御殿として造園・改築が進められ、十一代将軍家斉の時代にほぼ現在の姿の庭園になったそうです。
庭園に入ると、さっそく渡り途中のヒヨドリの群れが頭の上をヒーヨヒーヨと鳴きながら移動していきます。汐入りの水路にはもう冬鳥の第一陣でしょうか、コガモのむれが見えます。モズの高鳴きも聞こえてきます。また植物もハゼ・ヨウシュヤマゴボウなど、野鳥の好む実がそこかしこになっていました。
江戸東京博物館に地下鉄で一緒にサポートしながらの移動、そこで松田道生講師より「江戸時代の野鳥」についての講演をお聞きする。映画「七人の侍」でのヨタカの声、歌川広重の浮世絵「名所江戸百景」に描かれたのホトトギス・ハクセキレイ、またその頃の江戸の風景を描いたものから、タンチョウヅルが千住・品川・本所に、コウノトリが葛西に、トキが千住にと、今では考えられない野鳥が、江戸という百万都市の中に生息していたことが判るそうです。
今回ご参加頂いている視覚障害者の方々の反応はとても好評で、ふだんは経験できない自然との触れ合い・貴重な歴史を堪能しておられたように思います。
サポートをご担当頂いた方々には本当に有り難うございました。これを機会に普段の時でも、障害をお持ちの方との出会いがございましたら、お気軽に声をかけ、サポートをして差し上げて下さい。
観察種
ヒヨドリ、スズメ、ハシブトガラス、コサギ、ムクドリ、モズ、アオサギ、カルガモ、コガモ、ハクセキレイ
キンクロハジロ、カワウ、ハクセキレイ、ゴイサギ、ウミネコ、カイツブリ、イソシギ、シジュウカラ、メジロ
カワセミ、ドバト (計 20種) |
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報告/写真提供 戸谷輝夫、冨川秀夫 |
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