私は、長年の念願だった日本各地の山・山野草・温泉・城・棚田・滝
 などを訪ねる「車中泊」の旅を続けています。

 最近は山野草に惹かれて花期に合わせて山に登ることが中心になり、
 車中泊の期間も長期化し、春先から夏まではどこかの山域を徘徊して
  います。

 
 そんな旅の様子を紹介します。
 
2014年10月 大津市在住  山口 幸雄さん 
◆長期車中泊への準備

 退職前は山へ登るのが楽しみで、春先は鈴鹿、夏秋は北アルプスを中心に、夫婦とグループ一緒に車やテント泊で2泊3日
 程度の登山を10年ほど続けていました。唯一の夫婦共通の趣味です。このころから、退職後は日本各地を訪ねて
 山に登りながら、ゆっくり観光をしたいと夢を膨らませていました。まだ、車中泊の言葉もなかったと記憶しています。
 乗用車では長期車中泊は無理と考え、50歳ごろからキャンピングカーの情報を集めに展示会・メーカー訪問などを中心に
 かなりの時間を使い、検討を重ねていました。
 登山道は地道で細い道がほとんど。余り大きな車は適しません。また、日常でも使えないと経済的にも制約が大きいので、
 結果、今の車に行きつきました。マツダのボンゴフレンディーという車です。車の屋根が開いて上に寝ることができる事で
 かなり知名度のあった車です。退職1年半前に生産中止の情報をディーラーからいただいたので、決断し購入しました。
 
 車の概要は、
 ・日常は普通の8人乗りのボックスカーで、退職後順次検討と改善を重ねて今の形に行きつきました。
 ・コンパネ2段でフルフラットの2名用のベットを確保。これに低反発マットを敷いています(写真参照)。
 ・夏は写真にあるようなクッション付きの御座で涼しくいています(写真参照)。 下には衣装ケースを装備して、
   後部には同じく小型のケースで炊事道具を中心に収納しています(写真参照)。 
 ・最近はこれにネット環境、プリンターを装備して設備を充実しています。この装備で最近は100日を超える車中泊長期旅を
  快適に続けています。サイドオーニングと100Vはメーカーオプションで当初から付けました。


2段ベッドと収納ケース


後部食器収納ケース


プリンターと簡易冷蔵庫

◆車中泊の場所

  始めた頃は道の駅が多く、最近はコンビニに多く                 
湖畔にて(北海道)
  お世話になっています。そのほかは登山口、
 公園等その日の状況で決めることがほとんどです。
 道の駅は全国に1030ヵ所、コンビニは50500ヵ所だ
 そうです。当初はコンビニは少なく、またトイレも
 有りませんでした。また、洗濯のコインランドリーも
 ほとんどなかったと記憶しています。今は本当に
 車中泊の環境が良くなり、便利になりました。
 
◆車中泊のポリシー
   (旅を楽しく経済的に続ける基本)

 ●温泉を楽しむ
 ●先を急がない、気持ちにゆとりをもつ
 ●早寝早起き
 ●行き先を決めない/縛られない
 ●自由を楽しむ
 ●心配をかけない
 ●節度を守り品格を保つ
 ●晴れの日は食事を作る、雨の日はのんびり
  インドアを楽しむ
 ●都市部は極力避け、都市部以外は高速に乗らない
 ●ガソリンは早い目に、車の合鍵は常に身につける
 
◆今までの経緯概要

 ツアーで数回観光に行っていた憧れの北海道に3回続けて行き、順次列島を南下しました。旅の重点も観光から登山・
 山野草と代わり、期間も長期化しています。(下記年度別概要参照)
 それに伴い、夫婦旅から単独へ、たまに良いとこどりで新幹線で相棒がやってきます。地道をのんびり走り、可能な限り
 日本の原風景に接する旅は当初から変わりません。
 今年の四国・中国・九州の旅の動線図です。総走行距離は16400㎞になりました。四国・中国は2回目で九州は
 3回目になりますが、今回は山野草重点の旅でした。

九州の移動経路

 
 
中国・四国地方の移動経路

◆これまでの旅概要

 『2006年退社後、同年北海道を皮切りに今まで沖縄を除く各県を訪問しました』
 
 【2006年】 北海道へ夫婦で23日の旅

 敦賀~苫小牧へフェリーで行き、道央の富良野から旭川へ。さらに稚内へ北上し、そこから利尻・礼文へ渡り、テント泊。
 利尻では登山も。日本海側を南下し小樽へ。そこから色丹半島をまわり、室蘭から苫小牧へ。フェリーで敦賀に帰りました。

最初の北登山


富良野の美瑛パッチワークの丘


礼文島

 【2009年】 北海道へ夫婦で19日、4524Km車中泊の旅

 二回目の北海道は、八戸までSA一泊で1000円の恩恵に。フェリーで苫小牧へ。富良野・旭川から層雲峡へ行き、さらに
 帯広、釧路から海岸線を根室へ。野付半島から摩周湖を越え、知床から網走へ。北見、トマム、札幌を経て、苫小牧から
 敦賀に帰リました。

オンネトー二人占め


風蓮湖の夕陽

 
野付半島

 【2009年】 東北へ夫婦で9日、3194Km車中泊の旅

 北陸高速道を新潟村上で降り、米沢・山形・大曲を経て仙北、秋田、能代、青森に入りました。さらに深浦、弘前、鹿角、
 八幡平、森岡、平泉、一関など経て、陸前高田、気仙沼、石巻、松島、仙台などを巡りました。

東北の紅葉


秋田駒が岳


蔵王お釜

 【2010年】 東北・北海道へ夫婦で19日、4663Km車中泊の旅

 高速で一泊し、八幡平.・八甲田の山野草を見て青森から函館へ。松前、江刺からニセコ、芦別へ。富良野・美瑛・旭川を
 通り、ひき返して雨竜沼へ。再び層雲峡、帯広、トマム、帯広、襟裳から、日高へ。苫小牧からフェリーで敦賀へ帰りました。

虫よけネットで

 草競馬の馬


アポイ登山

 【2010年】 九州へ夫婦で10日、3021Km車中泊の旅
 
 宮島に寄った後、高速で熊本へ向い、五木の迎鳥帽子山へ。九州の友人の案内で花を愛でる時間を持ちました。人吉から
 鹿児島へ向い、枕崎・指宿・鹿児島市を経て霧島へ。都城・志布志を経て都井の岬から海岸を北上し、宮崎市の先輩の家へ
 お邪魔しました。高鍋、日向から高千穂へ。肥後大野から別府へ行き、九重、阿蘇から高速で帰宅しました。
 
人吉の街並み

 
黒川温泉

 
知覧の武家屋敷

 【2010年】 長野へ夫婦で5日車中泊の旅

 長年の夢であった「日本一の紅葉」と言われる涸沢でのテント泊を実現しました。上高地からテント、防寒具等13kgを担ぎ
 定番のコース15km歩いてキャンプ場へ。500張りの中で一夜を過ごし、早朝から朝日の紅葉を見ながら散策しました。
 その後、上高地に泊まり、奥飛騨温泉から西穂独標にも登った5日の旅でした。
 
涸沢の朝焼け


上高地


キャンプ場涸沢

 【2011年】 四国へ夫婦で9日、2218Km車中泊の旅

 岡山から城を見学しながら松山へ渡り、宇和島、足摺と南下して四万十川を上り四国カルストへ。石鎚スカイラインから
 高知市へ。室戸まで往復し、大歩危から善通寺、金毘羅山、栗林公園、高松を経て高速で帰宅しました。

高知の古い町並み


遊子の棚畑


宇和島城

 
 【2011年】 長野へ夫婦で9日、1430Km車中泊の旅

 高速で松本へ。安曇野をゆっくり回り飯綱高原へ。山を越え長野市から上田へ。さらに池之平、八千穂高原へ。
 入笠山から長谷村、大鹿村を経て奈良井の宿へ。馬篭・妻篭宿から国宝犬山城の雄姿を見て帰宅しました。
 
 
八ヶ岳


奥飛騨登山道

 
キバナアツモリソウ

 
イチョウラン

 【2012年】 中国・九州へ単独で9日、5560Km車中泊の旅

 地道で九州へ向いました。篠山から丹波市の竹田城跡を見て、早春の花を愛でながら朝来、作用、美作、津山、真庭を経て
 西へ。神石高原から三次へ、さらに阪南町から石見銀山、太田市、益田市、津和野、萩などを通り、日本海側の山口県を走り
 九州へ入りました。英彦山を越えて耶馬溪から宇佐、院内、豊後高田を通り、国東半島を半周し別府に到着。その後、湯布院
 から阿蘇を抜け、天草、島原,長崎、平戸、唐津から佐賀へ。山を登りながら、再び中国地方へ戻り、山口市、鹿野、六日市を
 経て松江へ。香住,豊岡経由で帰宅しました。
 
天草の夕日

 
石橋日本一 飯田橋

 
熊野磨崖仏

 
伊万里焼窯

 【2012年】 長野・新潟・東北へ単独で34日車中泊の旅

 高速で長野の高遠へ。入笠山に登った後、新潟の魚沼へ。只見から尾瀬を目指すも通行止めの為、初めての佐渡へ
 渡ることにしました。雪の山を登り、山野草を少し愛でながら島を一周しました。その後、磐越道から磐梯を通り、
 桧枝岐村へ。途中大内宿(江戸村)を見て尾瀬へ到達するも、自分の求める花に会えず次へ移動。栃木の塩原を
 抜け茨城へ向いました。袋田の滝に寄った後、北へ走り、福島の郡山から山形の蔵王を抜け秋田へ入りました。
 酒田、男鹿半島、大舘そして八幡平を抜け、岩手へ到着。早池峰、北上、盛岡、雫石などで多くの山に登り、
 さまざまな花に出会うことが出来ました。
 
月山登山

 
袋田の滝


奥入瀬渓谷の滝

 
 【2012年】 長野・岐阜(雲ノ平縦走)へ夫婦で6日車中泊の旅

 北アルプスのヘソを縦走したいという長年の夢をかなえました。折立から太郎小屋へ。太郎岳、黒部吾郎岳を縦走し、
 太郎・黒部五郎小屋に泊まって、三俣蓮華岳を通り、羽岳~水晶岳を見ながら、雲ノ平へ。高天原山荘に泊まり、
 秘蕩高天原の温泉にはいりました。黒部源流を登り、再び太郎小屋から折立へ。快晴に恵まれた縦走でした。
 
黒部五郎岳

 
雲ノ平の湿原


黒部源流

 
 【2013年】 中部・関東へ数回に分けて合計105日車中泊の旅

 数回に分けて中部・関東地方へ行き、花を愛でました。富士山麓にも花を探しに行きましたが、途中で世界遺産登録の
 ニュースを聞きました。初めて樹海に入り花探し。富士山の見える山にも沢山登りました。新潟では初めて警官の職務質問
 を受けました。この年は、最高の52座の山に登りました。
  
富士山

 
白根山お釜

 
青木ヶ原樹海

 【2014年】 中国・四国・九州・山梨・群馬(瀬富士山)へ数回に分けて合計126日18000Km車中泊の旅

 花を求めて四国・中国・九州を3回に分けて延べ1650㎞の車中泊の旅をしました。3月末から8月末まで間、早春の花、
 初夏の花、夏の花を求めて歩きました。
 今年から、百名湯・百名城を目指す目標を加えました。今回での旅で、関西以西の残る城は3、温泉は2となりました。
 8月初めには、今年も富士山麓・樹海に行きました。、4回目の尾瀬は尾瀬ヶ原・至仏山へ行き、多くの花に会えました。
 
甑島

 
佐世保の夕焼け

 
尾瀬ヶ原

◇これまでの登山記録

 退職後の年別登山数と主な山
 2009年  19座  大山・知床岳・黒岳・松前岳・堂萬山・鈴北岳・笹間が岳
 2010年  22座  仰烏帽子山・鈴北・御池岳・八甲田山・アポイ岳・大千敷岳・涸沢
 2011年  12座  唐松岳・鈴北岳・ブンケン・NZのトレッキング・梁谷山
 2012年  37座  由布岳・・天山・井原山・三瓶山・金剛山・岩滝山・田代山・月山・栗駒山
 2013年  52座  藤倉山・金時山・三つ峠山・鳴神山・赤城山・医王山・硫黄岳・・黒岳・白山
 2014年  55座  船通山・赤星山・皿が嶺・横倉山・野間岳・開聞岳・韓国岳・久住山
 
◇山野草への思い

 デジカメの進化と共に、山野草と写真にのめり込みました。
 山で使える軽い一眼レフカメラは、今はキャノン70Dと60Dが主体で、主にマクロレンズで楽しんでいます。
 花の時期に合わせて各地を訪ね.新しい花に会えた感激は何にも代えがたくこれからもしばらく山野草を愛でる
 旅を続けるつもりでいます。
 山野草は花の時期が短く、貴重な花の情報・咲く場所など限られており、何度も行き来して初めて愛でることができる
 事もあり、また会えないこともありますが、多くの愛好家に助けられて楽しめています。
 
ベ二アマシャク

 
サルメンエビネ

 
ウチガイソウ

 
クマガイソウ

 
サイゴクサバノオ

 
四国カッコウソウ

 
カタクリ

 
タシロラン

◇今年の山野草の旅

 3月21日に出発。早春の目的は、コバイモ・シロガネソウに会う事でした。日本には8種のコバイモと10種のシロガネ属
 があり、コバイモは関西以西に5種類生息しています。中でも四国にはその内3種が生息し、これらを訪ねるのが最大の
 目的でした。
 アワコバイモ(写真)には順調に会えましたが、事前の調査と違いトクシマコバイモ(写真)は、花の時期が半月も違い、結果、
 当初は会えませんでした。
 アワコバイモを探す山で、偶然隣りに車を止めた地元の方が「咲けば連絡しますよ」 と嬉しい申し入れがあり、その後
 九州から600㎞、徳島まで引き返して、漸く7種類目のトクシマコバイモに会うことができました。残る1種は関東の
 山梨県で待っていてくれるはずです。
 シロガネソウ属は、サバノオ(写真)を九州で見ることができ残り3種類になりました。 初夏にかけてはラン類を中心に沢山
 の初見の山野草に会えました。
  9月に入り、多分日本で一番小さなラン、コオロギラン(写真)に会いに高知・徳島を再度訪れ今年の車中泊の旅を終えました。
 同じ趣味の地元の愛好家と情報交換をするのが楽しみで、多くは助けられています。
 今回もおかげで予期せぬ花をたくさん愛で、以前からの友人宅にお世話になり、話しを弾ませたりもしました。
 
 会えなくてもよし、会えればなおよしをモットーに未知の山で貴重な山野草を探す旅を今後も続けたいと考えています。

アワコバイモ


トクシマコバイモ


サバノオ


コオロギラン

◇観光

 当初の旅は観光中心で、たまに山に登り、また移動の途中で通りがかりの神社・棚田・滝・城を見学して来ました。
 事前調査もしますが、道の駅で情報を入手したり道路の案内板を見て立寄ったりするのがほとんどでした。
 2年前には沖縄を除き各県を1度は訪れました。他には宿場町・門前町等の古い町並みが好きで立寄っています。
 最近は80%は山か山域で花を探しており、観光の比率が大幅に下がっています。
 沢山訪れた神社・棚田・滝・城・古い町並みなどの一部を、写真で紹介します。

丸岡城


熊本城


オシンコシンの滝

 
からたにの滝

 
高千穂渓谷

 
白山林道の滝

 
井仁の棚田


生月の棚田

 
植村直己記念館

 
幸福の駅

◇温泉の楽しみ方

 ほぼ毎日温泉に入るのが明日への活力で、いつの間にか温泉大好き人間になっていました。本当に多様な温泉が日本には
 沢山あり、好んで元湯・共同浴場を探し入るのが楽しみです。いい温泉に入りたいが講じて・・・最近は自己流で入浴した温泉
 を評価しています。掲げられている温泉成分表、これを基に比較するのが楽しみになりました。
 
 私の最高の温泉の定義は、以下を満たす温泉です。
  1.何も足さないひかない。(加温・加水・循環・消毒なし)
  2.成分表のイオンの合計が高い方がいい温泉(異論ある方多いかも)
  3.肌触りのいいお湯・切れのいいお湯・特徴のあるお湯

 成分表の陽・陰イオンの合計が5000mgをこえる温泉は、思いのほか少ないようです。
 今まで4か所のみでした(温泉の中の温泉・・・最上級の温泉)
 いい温泉は必ず安いなぜか・・・理由は簡単何も足さない引かないから原価が安い。
 構造上のいい温泉は湯船の下から温泉が出ています。過去2か所のみ。
 
温泉津温泉街

 
長湯の川原温泉

 
指宿殿様の湯


自噴温泉


栃木にて


三朝温泉株湯が足湯に

 日本で源泉の数多いのは、大分県・鹿児島県・北海道の順。ひなびた温泉街の風情は安らぎを与えてくれます。  
 昔ながらの温泉が経験ではやはりいい温泉の確率が高そうです。泉好きな方もたくさんおられると思います。同じ入る
 ならいい温泉が得かと思います。大きなホテルより小さな旅館の方がいい温泉の確率が高いと思います。温泉の湯を多く
 使うホテルは、循環式・塩素消毒が多いのは間違いないと思います。比較するとその違いが分かります。
 共同浴場を教えていただき、入浴後宿泊温泉と比較するのも楽しいかもしれません。
 
◇印象深い思い出

 ●北海道3度ともなぜか旭山動物園へ
 ●1000円で八戸ICまで・・・最長高速1000円走行記録 
 ●東北の紅葉・黄葉は最高・・・北海道の紅葉見てみたい
 ●北海道の登山・・・・荒れた地道を40km峠を幾つも越えて雨の大千敷岳へ
 ●恐る恐る青木が原樹海へ・・病みつきに
 ●信州は何度行ってもいい所
 ●春の遅い山陰は温泉天国
 ●山野草を愛でるなら九州かな・・・温泉安くて最高
 ●四国は近代植物学の父牧野博士を尊敬する風土が感じら楽しい。(2500種もの植物の命名をされたとか)
 
◇今後の願望

 ●残る沖縄へ車で行きたい
 ●百名湯・百名城を達成したい(現在63湯74城)
 ●最後に北海道3年以内に心ゆくまで
 ●あと数年は続けたい