〜 雲 南 省 の 旅 〜

梅里雪山、麗江、香格里(シャングリラ)、昆明

東近江市在住 田中 俊一郎


1日目(2006年6月26日)


 初めての中国の旅、それも最南部 ベトナム、ミャンマー、チベット自治区と国境を接する雲南省への旅。
 初めての中国にしては、マニアックだが、2月のスキーツアーのおりに誘われ、「シャングリラ」、「梅里雪
 山」という言葉に惑わされ、あまり事前知識もないまま関空から中国東方航空機で雲南省の省都昆明へ。
 標高1900mの昆明が一番低く、最高4200m平均約3000mの1週間で、高地順応できるか不安。
 昆明のホテルに深夜着。
 ツアーは、23名 みな熟年。ガイドは楊(ヨウ)さん なかなか日本語の上手なしゃべりも、はっきりした人。
 (後で聞くと3日前に結婚式をしたばかりとか中国には新婚旅行は無いのか?)

 雲南省基礎知識:

  産業:1.たばこ 2.茶 3.松茸(日本への輸出が主) 4.花 
  面積:38万ku、
  人口:3885万。漢族、イ族、ペー族、ナシ族、ハニ族、タイ族など26の少数民族があり、中国で民族が一番多いところだそうである。
2日目 麗江 玉龍雪山 古城

 早朝発で弁当をあてがわれ北部の麗江へ。
 昆明から約1時間のフライトで、標高2400mの麗江へ 現地ガイドとして少数民族ナシ族の孫さん加入。
 かたことの日本語は大丈夫かなと心配に2人も必要なのか?

 バスで、最初のハイキング 玉龍雪山の展望台「モウ牛坪」(ボウギュウヘイ)という平均高度3700m 5.8km2の草原へ。
 ゲートで専用バスに乗り換える。上高地のように、マイカー禁止。終点からリフトで320m登る。急に高度があがり身体がなれないためか
 ちょっと登ると息が切れる。頭痛がしたが、渡された酸素ボンベで少し軽減を実感する。
 パンフレットでは1時間の草原ハイキングだが、20分で集合という みなブツブツ。
 草原は、花が咲き乱れているが、お目当ての玉龍雪山の頂上はガスの中。ときどき連山の一部がのぞかれる程度。
 元気な人は、丘の上にあるチベット仏教寺院へ タルチョが飾られ色彩けんらんだが内部は撮影禁止。
 昼食は、郷土料理 ツアー中いつも同じパターンの似たような味であった。日本で食べる中華料理より淡白で予想外であった。
麗江市に帰ってから、旧市街「古城」観光。広大な中国の南の端 雲南のまた山の中の小さな市、水曜日というのに中国人で尋常でない人込み。1997年世界文化遺産登録されたそうで近年観光地として人気急上昇とか。
古い町並み、細く入り組んだ石畳、網の目のように流れる水路。小さな間口の土産物屋、お茶屋などがぎっしり。革のカーボ−イハットが、7元(¥112)とメチャ安い。
この市は、高倉健主演の「単騎千里を走る」の舞台となったところ、撮影もこの周辺でされたそうだ。 また、ヒスイが名産で、隣国ミャンマーでとれた原石を雲南で加工しているそうで安いとか。あまり縁がない話。
初日に気づいたのは、バスが遅い車がいるとクラクションを盛大に鳴らし、上り坂であろうとカーブであろうと追い抜きをかけること。
野良犬が町中をウロウロ 噛まれると狂犬病 くわばら くわばら

3日目 香格裏拉(シャングリラ)へ 途中 石鼓(せっこ) 虎跳峡


 石鼓 
  長江第一湾といって 長江上流の金沙江がV字形に大きくカーブところで、「単騎、千里を走る」の撮影が行われた鉄橋がある。
  映画で主人公が、踊手の子供を捜しに行った町。
 虎跳峡
 高低差3000m、全長20kmの峡谷で、駐車場から2.5km歩くと虎が飛び越えたといわれる程川幅が狭くなったところで金沙江(長江)が
 激流となり川面に近くまで降りる展望台では、ごうごうという音と迫力に満足。この散策路も、落石が多く道の山側を歩くよう指示する
 管理人が数100mおきにいる。危険回避のため、数箇所で、迂回のトンネルも掘削されていた。
 これも、オリンピック、万博目当ての整備か?

240km走ってようやくシャングリラへ
香格裏拉(シャングリラ)は、迪慶チベット自治州の中心地で標高は3276m。
「失われた地平線」(ジェームス・ヒルトン著)の舞台となった理想郷シャングリラはこのエリアがモデルだと地方政府が主張し2002年「中甸」という名前をシャングリラに変えた。2003年世界自然遺産登録。
町は、名前から想像するのとは大違い5〜6階のビルが立ち並ぶ現代の田舎町、ちょっとがっかり。 
夕食は、きのこ料理これは美味かった。様々なきのこの歯ごたえ、味が楽しめ3日目にして初めてメンバーからおいしと声が出た。
このあたりは、特に松茸の大産地でほとんどが日本への輸出とか こちらの人は、「くさいきのこ」といって、あまり食べないそうだ。くさいといっても日本人には、日本産に比べ香りが薄いと評価が低いが。
4日目 ナパ海 雲南アルペンルート 長江大回湾 東竹林寺 白茫雪山 5137m 徳欽

今回のツアーのメイン 雲南アルペンルートをシャングリラから徳欽へ190kmのバス旅行。この道は、大理石の名のいわれの大理からチベットの首都ラサへ続く国道214号線で、長江、メコン川の川べりを川面から数百メートルの高さで、樹木のほとんどない山の急斜面を切りとり、山肌をくねくねとたどってゆく。未舗装部、石畳もあり、カーブだらけ、路面は落石が目立つ。山側には、今にも落ちてきそうな半分以上壁面から突き出た大きな岩があちこちに。恐ろしいことにカーブミラー、ガードレールは一つもないことに同行のSさんが気付いた。それでも運転手は、ためらうことなく、クラクションを鳴らしながら、カーブでも、登り坂の頂上付近でもどんどん追い抜きをかけて行く。一歩間違えば、遮る木もない斜面を長江、メコン川へゴロゴロ転落は間違いなし。途中、まずシャングリラ最大の牧草地ナパ海へ 雨季には湖になるが今は草原 牛や馬、ヤクが放牧されている。ヤクの前に回って写真を撮ろうとしたツアーメンバーが怒ったヤクに体当たりされ転倒さらに角を向けて来たが命からがら逃げ出せたハプニングもあった。民族衣装のおばさん達がいたが、写真を撮るとモデル代を請求されるとか。遠くからとっても彼らは目がよいので必ず請求されるそうだ。
シャングリラ=理想郷ときいていたが、麗江から登ってくると実感がわかなかったが、たしかにチベット方面から移動して来た際はげ山、急峻なガレ場の渓谷を何日間も経た後に広大な草原のここを見たら理想郷と思うのもむべなるかなと納得した。
途中、日本人と思しき8台のバイクツーリング一行ともすれちがった。また来年開設されるというスキー場や、所々にある草原に咲く高山植物、サボテンなどを車窓に眺め、名勝長江大回湾、チベット仏教寺院東竹林寺、今回の最高地点4210mの峠を越え白茫雪山を眺めながら徳欽の郊外の飛来寺そばのホテル3420mへ。

正面にあす行く梅里雪山6740m、明永氷河が眺められる。
 

5日目 梅里雪山 明永氷河

7:30出発 雲南アルペンルートをさらに北へ30km位で、右 チベットの首都ラサへの分岐を左に折れはるか下を流れるメコン川流域の瀾滄江峡谷へ降りて行く。そこは、有名な(?)雲南ワインの故郷だそうだ。メコン川を小さな橋で渡り未舗装のラフロードをたどり、ちいさな谷へ、突き当りが明永村。

梅里雪山から流れ落ちる明永氷河への登り口2300m ここから約1時間登山道をロバに乗り氷河の展望台へ行くという。
各人1頭のロバと馬子をあてがわれる。馬子は、10代の少年少女 ロバと一緒に1時間かなりのスピードで急坂を登るのだから大人には無理なのだろう。スタート時は手綱を引いていた馬子は、5分もたつと手綱を放してしまう。どうするのかと不安になって見ているとロバは勝手にどんどんに登ってゆく。ロバの鼻息で道の落ち葉が舞い上がる。つづら折れの登山道を時にはショートカットし、1m位の崖をかけのぼったり、道の端すれすれをたどったりで、乗せられた客は、落とされないように必死に鞍を握りしめる。勝手に水を飲んだり、休憩しながらロバは終点の太子廟2895mについた。ここからは、木道と階段で世界有数の低緯度氷河・明永氷河を見下ろす展望台3035mへ 朝はしんどそうだったメンバーも全員元気に展訪台の一番上へ、一番バテていたのが若い添乗員だった。 表層は黒ずんでいたが梅里雪山山頂付近から流れ落ちてくる氷河は鋭く割れたクレバス、ぎざぎざの尖った表層で 迫力満点 しばらく見とれてしまう。
下りもまたロバ 登りでかたい鞍でお尻がすれ血が出て下りは歩く人もあった。こんなに長くロバに乗ったのは初めてで、貴重な体験だった。
 登山口には、初め気付かなかったが、京大と北京大の梅里雪山合同登山隊の遭難碑があった。 1991年1月、標高約5100mの第3キャンプ付近で大規模な雪崩に遭い、全員が消息を絶った。日本の海外登山史上最悪の遭難といわれる。96年頃から遺体が発見され報道されたのでご存知の方もあるでしょう。なぜか、塩辛さだけが印象的だった食事のあと、チベット民家を訪問した。外も内部も派手な色彩がほどこされている。信仰心の篤い彼らは、電気製品、豪華調度などよりもまず、家の内外部に派手な仏画、模様を描くことに支出を優先させるそうだ。また、居間に、ダライラマ、パンチェンラマとならんで、毛沢東の肖像画がかけてあった。チベット仏教を排斥した張本人が並んでいることに疑問を感じガイドにきいたが、チベットの人は、ダライラマを尊敬しているが、毛沢東もみな好きだという。ダライラマを追い出したのに何故だと問うたが、そんなことは知らないという。共産独裁国の教育の怖さを目の当たりに感じた。
 それから再びシャングリラへ来た道をたどる。300km夕食のレストランに着いたのが、21:00。 早く危険な個所を過ぎるようにと、だんだん暗くなってくる雲南アルペンルートにおびえながらやっとたどり着いた。

6日目 松賛林寺と 属都湖 碧塔海 散策


連泊でちょっと楽
郊外の丘にそびえる雲南のポタラ宮といわれる松賛林寺は、雲南省最大のチベット仏教寺院で、文化大革命で破壊されたが復旧中のため寺前は、露店、道路工事、建築工事で、落ち着きがない。これも、国威発揚の北京オリンピック、上海万博の観光客目当てのためか? ここでも、子供の団体見学者がいたが一人ずつ五体投地で拝んでいた。日本のように寺に観光に来ている風ではなく、信心深さが印象的だった。
本堂は、他で見たお寺と同じようだったが、800人の僧の食事を作るという台所は、直径3mもあろうかという大きな鍋とかまどが3つそびえていた。 ここだけは、観光客も含め女人禁制だとか。
寺内部のお坊さん、仏像は写真撮影禁止
寺の外には、僧の宿舎がたくさん建っていた。ただいま信仰より観光へと大変貌中のというのが正直な感想だった。
昼食後、最後のハイキング 花が咲き乱れているという属都湖 碧塔海へ
ここも、いったんバスを降り、ゲートをくぐってから専用の巡回バスに乗り換えるシステム。
帰国後 「人民網日本語版」2007年4月9日でしらべると、「中国最大規模の国立公園「普達措国家公園」が完成した。第1期プロジェクトで建設された面積は約1300平方キロメートル。 国立公園は自然のままの景観、自然のままの動植物、特殊な生態体系を長期間保護するために設立されるもので、保護形式の一種だ。現地政府はこの先進的な保護形式を参考に、以前からあった湖と碧塔海景観区を一体化させ、中国最大規模の同公園を設立した。」とあった。駐車場も出来たばかり、公園内の施設も真新しいようすだった。
黄、ピンク、白、紫の花々が咲き乱れていたが、無知な小生には、名前は何にもわからない。いろいろ教えてもらったが、忘却の彼方。好きな人にはたまらないかも。散策通路の木道は、湖の上にでることもあり花や景色を見るには未経験の目線が楽しめた。ここも標高3500mほどあり、平たんな道だが高山病症状があらわれた人もいた。
ビジターセンタがあったが、中は、もぬけのから 暗く、椅子がすみにあるだけ 建屋は作ったが中はどうしてよいかわからないといった様子。観光客が何を求めているかを考えもしない国民性の、発展途上国の実態が垣間見られた。
 夕食後、ホテル近くを散歩したら、日曜日で市が立っていた。露店や移動遊園地、お化け屋敷などがあり、有料撮影用のラクダまでいた。 50年前の日本の縁日と同じ雰囲気であった。
スーパーでみると ミネラルウォーター1元、ビール3元、ワインも30元〜100元 程 安いワインを1本購入した。
7日目 シャングリラ ? 昆明 昆明観光:円通寺 昆明博物館

昆明 標高1900m 雲南省の省都
ガイドの話では、以前はミャンマーからの麻薬の集散地で、治安が悪く外国人観光客は皆無だったとか。1999年の花博開催の折り、中央政府の肝いりで対応が進み治安が大きく向上したそうだ。しかし、今でも、昆明南駅の辺りは、地方からの参入者で異様な雰囲気で、近寄らないほうがよいという。
高地のため、花の栽培が盛んで非常に安いそうだ。
街路にも、百日紅の赤い花が咲き乱れていた。円通寺は、本殿である、大雄宝殿が、境内で一番低いところにあり、大門からだんだん下がってゆくという変わった構造の寺であった。ここも人であふれていた。
昆明博物館
宋代経幢 仏教の経文を刻んだ、六角形の石柱 高さ8.3mを中心に、近くで発掘された青銅器、恐竜の化石を展示してある。恐竜の化石は、完璧なものでいろんな化石が見事にその姿、骨格を再現していた。中央政府からこの地方の王に贈られ金印が展示。福岡志賀島で発見された金印とおなじ形のものである。ちょうど、7/3  NHKハイビジョン 「知られざる文明への旅 長江文明」で紹介されていた。
次の部屋に移動すると、博物館を説明してくれた女性係員が、売り子に変身 民芸品、ヒスイの装飾品、筆、水墨画、土産物 がずらりと並んだ雲南物産店であった。圧巻は、雲南産の石を使ったいろんな彫刻 人間国宝的な名人の作だとか 単品なら各30万円位だが、6個まとめるとマホガニーの棚をつけて165万円にする。国家の保証書つけて自宅へ配送するという。カードOK 昨年は、3組売れたとか。意外に安い気がしたが、我々には無縁の宝物
筆を買ったが、ここも交渉次第で値段は下がるようだ。公的施設だから安くならないと思って言い値で買ったら、同行の御仁はちゃっかり値切っていた。まったく中国という国は・・・・
そのあと、雲南名産のお茶屋へ 大きな店で、すぐ奥の部屋へ通され女性が流ちょうな日本語で当地の紅茶、プーアール茶、苦茶、ウーロン茶、などの味、効用の説明とパフォーマンス的な入れ方のデモ、試飲。 説明が終わると客2人に1人の若い女性の店員がつき購入品は決まりましたかと迫る。旅行も明日で終わるため使い道の無い余った「元」の処分なのか皆さんどんどん購入していた。体に良いといわれてもどれもきつい味で私には、とてもおいしいとは思えなかった。
その他の感想

:シャングリラのキノコ料理、昆明のホテルの朝食バイキング 以外は、意外なことにいわゆる日本で食べる中華料理の濃い味とは異なり、淡白な味で素材の味だけで料理といえるものではなかった。 安い各地の郷土料理だったせいかもしれない。

買い物:正しい価格はさっぱりわからない。交渉次第でびっくりするくらいすぐ安くなる。
空港の売店で、ヤクの革に描いた曼荼羅 25800円が、黙っていると10000円(60%OFF)になる。
12800円の小さいものも、買う気がないので冗談で2000円といって椅子に座っていると、何度も声をかけられ、どんどん下って行く。仕方ないので、こちらも財布に残った200元(約3200円)ならと妥協すると上役を連れてきてその値に決まった(75%OFF)。これでは買わざるを得ない。
田舎の露店のお土産屋でも35元のマニ車も10元(70%OFF)に、お店でも35元のかざり品が5元(85%OFF)に、逆に、スーパーで3元のビールが、レストランで注文すると20元。雲南ワインもスーパーで、580円
もう何が何だかわからなくなる。買う人の価値観で決まるようで、これが正しいのかも

トイレ:ご存じ50p位の高さの仕切りだけ上はオープンのトイレ それでも有料が多い 5角(1/2元)

言葉:西欧より意志が通じにくい 西欧では片言の英語でも何とか意志が通じるが、中国では、まったくだめで、買い物も筆談で数字を書かなければ通じない。

帰りの飛行機で飲んだミネラルウォーター、一口飲んだとたん違和感を感じた。予想的中帰国後翌日から1日猛烈な下痢に襲われほぼ2日間何も食べれず5kgやせてしまった。ダイエットには、中国旅行が第一とお勧めする次第です。