今回、中国四川省にある楽山、黄竜、九賽溝などの世界遺産を巡り又高山植物の花を見るツアーが、H社のC企画であることを知り6月24日から9日間これに参加しました。
往復とも、関空から北京を経由して成都に入り、成都がツアーの起点及び終点でした。
成都は中国南部の都市のため非常にむし暑く、四姑娘山、黄龍、九賽溝は高地の気候で、同じ四川省でもその気候差もありました。  

このツアーは、岷江とうい長江の支流で四川省北部の山地を源にした北から南へ流れ、宣賓というところで長江に合流する四川省西部で一番の河川をさかのぼるツアーです。

このツアーでの訪問先の概要を紹介します。

1. 楽山大仏(世界遺産)
世界最大の石刻座仏の楽山大仏は、岷江と大渡河との合流点の凌雲山に建つ。この地点は、古来水害が多発していたためこれを鎮めるために、713年僧海運が建立を始めこれを2人の役人が引き継ぎ90年後完成した。又、凌雲山にはこの近くの出身であり、日中間の文化交流につくされた郭末若氏の記念館があり、氏の功績がしのばれた。
大仏全像の写真を撮るのは、全体が大きいため岷江上の観光船から撮るしかないが、大仏の観光は午後の方が良いだろう。 私たちのツアーは楽山に宿泊し朝一番の観光であったので全体像の写真は逆光のため写真撮影がうまくできなかった。

<世界遺産 楽山大仏>
2. 都江堰(世界遺産)
2000年以上前に岷江の水を分流するため作られた堰で、この堰が無ければ成都には水が行かず、現在の成都は無かっただろうと言われている。
万里の長城建設のほぼ同時期の当時、すでに流体力学の概念を取り入れた設計で、現在も2000年前と同じ状態で存在するとは驚愕するばかりであった。 
中州と左岸に架かっているつり橋(安瀾橋)は、中洲と左岸の往来に便利なようにとあるご夫婦が作くられたとのこと。
このためこの橋を夫婦でわたると仲がよくなると言われている。
エーデルワイス
<都江堰への入り口で添乗員さんと>
ミヤマオダマキ
<外江と内江に分流する魚嘴>
レブンソウ
<安瀾橋>
都江堰から臥龍、日隆へは岷江上流の山間の川に沿って進む。 
道は拡幅工事のため 所々で片側通行になっている。 山側の壁はオーバーハングになっているの部分が多く ボデイを傷つけないかヒヤヒヤしながらの通行である。又、路面も荒れているため、バスの振動で身体中が振動マッサージを受けているようであった。この工事の完成も2年後になる ようである。 
3.臥龍(パンダ繁殖センター)
 臥龍のパンダ繁殖センターは宿泊したホテル熊猫山荘(PANDA INN)に隣接してい る。 
しかし、付近には住宅は見たらないのに、9時ごろになるとチベット族の女性がどこからとも無く、土産もの販売に多く集まってきた。

パンダ繁殖センターの入口は、クレゾールを浸したマットが敷いてあり外部からの 雑菌の進入を防いでいる。 
入り口に近い方には大人のパンダが個室をもらって飼育、1歳未満のパンダは奥の方で集団飼育されていた。
飼料は笹(竹)のほか卵、牛乳などをが与えている。
このパンダ研究センターには約60頭のパンダがおり、昨年、16頭の赤ちゃんが生まれたとのことである。将来、このうち何頭かが親善大使として世界各国にもらわれていくことだろう。
パンダとの記念写真は1歳未満のパンダちゃんを相手に行った。1歳未満とはいっても体重はすでに30kgあり私たちの膝の上には飼育係りの人に乗せてもらって、パンダがいやいやするのをリンゴで気をそらしながら参加者全員の撮影を終えた。

<宿泊した臥龍熊猫山荘>

<芸達者なパンダ>

<昨年生まれの子パンダ達>
写真を撮るには、200元(横に並ぶだけ)〜500元(抱っこする)と中国の物価としては高額な費用が必要であった。
ここの運営費用の一部は世界各国からの善意.によって賄われている。このうち30%あまりが日本人からのようだった。
また、パンダに自分で名前を付けられる里親制度もあり、金額によって一年から永久里親まであるようで、日本人の里親の名前も多く見かけられた。

<パンダをだっこ>

<お駄賃はりんご>

<みやげ物売りのチベット族の女性達>

4.臥龍〜巳朗山峠〜日隆
 臥龍から四姑娘山の麓までのバスドライブ。道路はセメント舗装が所々で剥がれておりドライバーはそれを避けながらの運転。
道路工事を見ているとセメントを混ぜ、運搬するミキサー車は無い、パワーシャベルやブルトーザも見当たらず全て人力でやっている。 これで良質な工事が出来るか疑問である。(但し、ここでは日本のように地震はないようだが、)
バスの長距離走行のためガソリンの注油がたびたび必要になる。ガソリンの値段が気になり観察していたら、1リッター約5元(約75円)であった。日本とは税金の差であろう。
ガソリンスタンドの道路の反対側では果物を売る店が並んでいる。売り子は十代(?)の女の子。 
りんご、桃、さくらんぼ、プラム、など豊富である。値段は非常に安いが、更に安く買うコツをガイドの賈さんに聞くと     

1、何個いくらでは絶対買わない。何gいくらで買う。これで値段が倍近く違う。
2、秤るところをしっかり確認しているように見せることが必要。

  とのことであった。

バスは巳朗山峠を越えるため、山の斜面をつづら折れの道を上って行く。 
途中でトイレ休憩を兼ねて高山植物の花の写真撮影。トイレの使用料は5角(約7円)。使用後、ホースで水を流して奇麗にしてくれる。 山の斜面には高山植物の花が咲き乱れている。
現地ガイドの賈さんに( 高山植物に詳しい)、花の名前を教えてもらいながら、花を見たり、お花畑や、かわいい小柄な花を至近距離で撮影したりした。チベット族のお兄さんが連れてきた馬に乗っている人もいました。
巳朗山峠は今回のツアーで到達した最高海抜地点。4487m。天候はあまり良く無かったがバスの車外に出て少し歩くと、息がはずんだ。やはり、4000mを超えると身体にも影響があるように感じた。


<きれいな高山植物>

<標高4,487mの巴朗峠>

<馬もいました>
5.日隆
  ここは四姑娘山の麓の町。 海抜3000mを超えているため高度順応のため午後半日 休養。 夕食は近くのチベット族酋長のお宅で取った。バター茶の手作りの実演(実習) を行いながら……

<バター茶作り>

<チベット族の夕食>

<チベット族の美女と>
双橋溝
氷河の侵食によって出来た渓谷で、両側は急峻な岸壁が聳えている。 双橋溝の入口で専用のマイクロバスに乗り換え渓谷の奥に進んで行く。 人参果坪、枯樹灘などでバスから下車。河川にほぼ並行して木道が設置されている。 観光客がむやみにお花畑に入らないように……  木道を歩きながら周囲に咲き乱れているサクラソウ、トラノオ、シオガマなどを眺めながら。
枯樹灘の海子(湖、池のチベット的な言い方)には水の中に枯木が立ち上高地の大正池のような風景をかもしていた。

<花畑の中の木道>

<羊の放牧も>

<上高地に似た枯樹灘>
マイクロバスの乗車点ではチベット人の露店がここでもオープンしている。ヤクの肉やジャガイモの串焼きが1元(約14円)で販売されていた。この串焼きには唐がらしのほか多くの香辛料が使われており、香辛料が口の中に広がり素材の味は感じない代物である。
マイクロバスで入った双橋溝の最終点の紅杉林ではチベット族の女の子を入れて全体の集合写真を撮った。

<ジャガイモやヤクの肉の串焼き売り>

<四姑娘山の眺め>

<ツアーの一行と>
海子溝
ここは四姑娘山の登山口。 ニリンソウ、シャクヤクなどの花を眺めながら約2時間半の登りをあえぎながら中鍋坪の石塔に着く。 
このあたりで標高3,500mで少し息苦しい。大姑娘山(5,025m)、二姑娘山(5,276m)と三姑娘山(5,355m)は姿を見せるが、末娘の四姑娘山(6,250m)は中々姿を見せなかったが、やっと四つの山を見ることが出来た。雪を頂いた岩稜のながめと高山植物の美しさで今までの疲れがとぶようであった。

<お花畑の中を歩きます>

< 中鍋坪の石塔に到着>

<左から四姑娘山、三姑娘山、二姑娘山、大姑娘山>
6.日隆〜映秀〜松潘
  四姑娘山の麓から牟泥溝の近くの松潘迄の移動。
午前中は巳朗山峠(4487m)を越えて成都と九賽溝の分岐点の映秀まではがたがたのえくぼ道、映秀からの先(九賽溝側)はきれいな舗装道路になっていた。 
1日中バスで350kmの移動であった。
7.牟泥溝
  ここ2〜3年の間に開発された新しい観光スポットである。 映秀〜松潘のメイン道路から20kmほどチベット集落を通って西に入ったところにある。 世界遺産への登録を目指して、よく整備されていて駐車場の周りにはトイレの増設工事が行なわれており、将来の観光客の増加を期待しているのが感じられる。ここの中心の「扎嗄瀑布(ざっかばくふ)」は、高さ104m、幅25〜40m、水量毎秒約23立方メートルで、この水が牟泥溝の景観を作っている。 「ミニ黄龍」といわれ、扎嗄瀑布(ざっかばくふ)からの水と、この流れに中に、あるいは流れに沿って自生している高山植物によって絶妙な光景を作っていた。

<チベット族の集落>

< 扎嗄瀑布>

< 牟泥溝の景観>
8.川主寺
  九賽溝と黄龍の分岐点である川主寺は、多くのホテル、レストラン、ショップが出来ている。ここの宝石店でブレスレッドの材料の真贋の見分け方、猫目石の真贋の確認方法など教えて頂いた後は、自分のお土産の宝石類の品定めと値段交渉、なかには宝石を買ってニコニコ顔の方もおられた。
9.川主寺〜黄龍
  川主寺から黄龍への道も又、海抜3800mを超える峠を越える。 車窓から後方を見ると、黒い煙を出して登ってくるバスもある。 峠の頂付近に休憩所があったが花の写真を撮るとチベット族の人からお金を請求されるとのことでパス。 少し下がった所でバスを止めて写真撮影。 ところが、どこからかチベット族の若者が現れ、お金を請求してきた。
しかし、ドライバーさんの一括でその場は納まり黄龍へ向けバスを再スタートした。


<海抜3,800mの峠からの名も無い山>

10.黄龍(世界遺産)
  黄龍と九賽溝は、1992年世界自然遺産に指定され、かつその後、周囲に希少動植物が多いため、1997年には世界生物圏保護区にも指定されている。黄龍の麓のレストランで昼食を摂った後、黄龍観光に出かけた。 麓は海抜約3,100m、良く整備された木道を通って海抜3,500m余りにある黄龍寺・五彩池まで登る。
高地であるため、マイペースで歩くように、且つ苦しくなれば渡された酸素ボンベ(缶)で酸素を吸引するよう話があった。木道は、ほぼ水の流れに沿って設置されており、遊歩道のある最高点の黄龍寺・五彩池迄続いており、途中、休憩場所やトイレも十分過ぎるほどの箇所に設置されて、ゴミの収集など環境整備が十分にされていた。
写真スポットとしてよい場所には、撮影が容易なように撮影スポットも用意されていた。
木道は、まるで繁華街のような人の波で、撮影スポットでは順番待ち。
迎賓彩池、盆景池、争艶彩池で周囲の色の変化により水の色が変わるのを楽しみながら五彩池迄登り棚田のような風景を堪能しながら、約4時間をかけて往復した。
11.九賽溝(世界遺産)
 九賽溝は、Y字状に並んだ3つの渓谷から成っている。この中にチベット集落が9つあったためこのような名前がつけられたが、現在では、3つの集落しか残っていない。(賽とは集落のこと。)開発により支払われたお金を持って他へ移住したようだ。 
区内は、全てエコバス(天然ガス)を利用し、観光スポット間を移動する。 私たちのツアー客一同は1台のマイクロバスで移動した。

<九賽溝入り口の雑踏>

<エコバスが次々と出て行く>

< 樹正瀑布>
入口に近い所が樹正溝。 盆景灘、芦葦海、臥龍海、老虎海の海子横を通り日則溝と則査窪溝の分岐点に着く。途中、樹正瀑布の手前でバスを降り、水の流れに沿って、瀑布の雫に濡れながらの散策をした。則査窪溝のバスの終点の五彩池では、水の色の変化の鮮やかさを堪能した。
現在も残っているチベット集落のなかでは多くの土産物屋が店を開いているが、民族手芸品や安価な織物類で関心を持てるようなものはなかったが値段交渉で楽しんでいる人達が多いようであった。
途中、黄色のバスが目立ったがトイレバスとのことで、世界遺産への配慮は見習うべきものと思った。

<諾日朗瀑布>

<長海>

<五彩池>

<珍珠灘 瀑布>

<トイレバス>

<九賽溝民俗文化村>
12.九賽溝空港
 今回のツアーで一番やきもきさせたことは、標高3,500mの高地にある、九賽溝空港が開港後2年しか経過していないのに拡張工事を行いこのための閉鎖がいつまで続くかであった。2回目の閉鎖延長のためツアーのスケジュールが大幅に変更された。 閉鎖が延長されると九賽溝〜成都間を陸路で移動しなければならなかった。この所要時間10時間強の成都へのバスによる移動は非常に苦痛と考えていた。しかし、幸運にも2日前に再開港され10時間強の陸路での移動は避けられた。

<再開港された九賽黄龍空港>

<標高3,500mの高地から離陸>
13.結び
 今回のツアーでは、H社の添乗員の前川さん、現地ガイドの賈さん、ドライバーの今日さんには本当にお世話になりました。
幸い天候にも恵まれ、途中雨はあったもののバスでの移動中や夜間の雨で観光やハイキングには全く傘いらずであったことは今回の四川の旅の楽しさを満喫できたことは非常な幸運であった。
今回のツアーでもう一つ感じたことは、どの観光地もトイレなどの整備、ゴミ一つ落ちていない(ゴミ拾いが絶えず行われていた)など環境整備には非常に気配りされていたことである。これは夫々の観光地は有料にして、入場をある程度規制していることにもよると思われるが、このことは日本でも見習うべきことでことではないかと強く感じた。
  2006年7月  大津市 丸市 次郎