〜私の大津絵 画集〜

大津市在住 田中 義根
   
大津絵は、街道の民画として江戸時代初期からから大津の代表的な土産物として、その昔、大津から京都へ通ずる東海道、大谷、追分、あたりの名も無き画工が軒を並べ街道を行く旅人達等の手頃な土産物として親しまれて来たようです。    
 大津絵の色々画を鑑賞し本も見てきたのですが描くことは、まだまだですが私の作品の一部をご紹介いたします。色紙に描いたもの275×245、410×320、と板に描いたもの500×200、390×200を紹介します。この板は贈り物の素麺の箱の裏蓋を利用して自分で素人加工をしたものです。
又、画に使用している落款は自作の篆刻です。
   
 大津絵は、当初は信仰の対象として仏画を描き売った事から始まったとも言われていますが、仏画は庶民の日常の礼拝用に用いられる物であったため、安価に製作できる事が条件であった為に、紙型で刷り込むやり方や、木型での版木押し等であったと言われています。
 仏画も色々の画題があります、阿弥陀仏三尊如来図、大日如来、十三仏、仏と位牌、八幡菩薩、愛染明王、天神、青面金剛、雨宝童子、鐘馗などがあります。

不動明王(赤絵)
 

大日如来

大津絵の如来様の中の一つです。金泥絵の具一部使用。

達磨大師
大津絵の中で墨絵は珍しい部類です。
 弁慶の絵では、長刀弁慶、釣鐘弁慶。武将の絵では、頼光、為朝、矢の根、乗馬若衆、鷹匠、荷持ち奴、奴、槍持ち奴、町奴などがあります。    


首相撲


釣鐘弁慶

この絵は弁慶の描かれている絵の中の一つで弁慶が釣鐘を背にして酒を酌み交わせている図である。 
(かって三井寺と比叡山との僧兵合戦、寺の鐘を分捕って帰る等の伝説など縁深く大津絵には逸材の人物)
この絵は弁慶と鬼が細い紐でお互いの首に掛け引っ張り合い競い合う図で童がそれを囃している。

長刀弁慶

長刀弁慶
大津絵の中でも弁慶の絵は多くありますがこの絵もその1つです。
(七つ道具を背に弁慶が長刀を振り下ろした図)

為朝(矢の根五郎)
大津絵の中でも弁慶の絵は多くありますがこの絵もその一つですが
小手をかざして遠くを見ている図です。

槍振り奴
武勇に長けた為朝を描いたもの、別図に砥石で矢じりを研ぐ図などあり、両方とも矢の根で呼ばれる雄姿。 大津絵には槍持ち奴の図が色々有りますがこれはその中の1つです。(江戸初期、大名の参勤交代その威圧的な行列の先兵の奴さん、庶民の目には羨望、虎の威を借りた?・今日時の流れを感じさせます。)

槍持ち奴


曽我五郎の力比べ(赤絵)

大津絵には槍持ち奴の図が色々有りますがこれはその中の1つです。
 
女性を描いた画では、藤娘、花売り娘、大夫、文読む娘、塗り笠美人、傘さす女、住吉踊り、女虚無僧、狐女、煙草のむ女などがあります。

藤娘

 

 

 

大津絵の代表的な絵で、藤をかざす素朴な美人画。その中の一つです鬼の念仏と共に特に代表的に広く知られています。

福を呼ぶ画では、大黒、恵比寿、外法の梯子剃り、鬼は外、大黒外法の相撲、雷と奴、雷と太鼓、鬼鼠柊、鬼の三味線引き、鬼の行水、酒飲み猿などがあります。    

雷太鼓

鬼の寒念仏
大津絵に中でも最も代表的な絵で鬼の寒念仏の中の一つで殊勝げな偽善者の邪心を鬼に見立てて面白く揶揄した図。因みに片方の角が折れているのは、邪心で念仏を唱え極楽往生を願う欲念に自責を示したもの。
海原に肝心の太鼓をうっかり落とし錨で吊り上げようとする雷公の粗忽さを描いた図。  

大津絵十種

恵比寿様


大黒様
鬼の間念仏、外法の梯子剃り、座頭と犬、鷹匠、藤娘、釣鐘弁慶、雷太鼓、瓢箪鯰、矢の根、槍持ち奴の十種です。
      大津絵の恵比寿様の中の一つです。
     
 他動物等の絵では、猫とねずみ、瓢箪鯰、座頭と犬、提灯と釣鐘、天狗と象、船頭、鳩と桃、立花、鶏、鷹、隼、馬、竹に虎、等々画題は数十種及ぶと云われています。  


龍馬


竹に龍

竹に虎
俗に神馬と云われ神社等で絵馬として取り扱われていることが多い、大津絵の中でもあまり描かれていないようである。
 

釣鐘提灯
大津絵の動物が描かれている 中の一つです。 大津絵の動物が描かれている中の一つです。

座頭と犬
 
大津絵の風刺画の中でも代表的な絵です、猿が前に提灯後ろの釣鐘を天秤棒で担ぎひょこひょこ歩く図は矛盾に満ちた絵です。  
           
      座頭が犬に絡まれ杖を振り上げ犬を追い払おうとしている図です。(当時の盲政治を批判したともいわれている図)  
 
 私が大津絵に興味を持ち趣味で描き出したのは定年後で、まだそれほど年数は経っていません。篆刻の方は大津絵よりは数年長くやっております。
 大津絵は民画の素朴さゆえの奥深さがあります。約束的な形式として半紙版の和紙をつなぎ合わせ、具引きの上、主な色を入れ墨線は後書で仕上げる。色彩も泥絵の具で黒、朱、黄土、緑、白、茶、だけの5,6色で多くの色彩を使いません。この辺が私にでも描けると魅力を抱かせたのかも分かりません。

作品は家の中に飾っていますが、知人、友人、親戚等の興味のある方に貰って頂いています。
色紙等の作品は机の中にしまい込まれる方には欲しいと言われても断っています。

作品を描く時は年間、月間の数は決められませんが、半紙に練習画を書いたり、色紙に気に入った絵を描いたり、板に描いたりでその時の気分次第です。
今までに大津絵として描いた数は40数点とおもいますが手元に残っているのは20数点かと思います。
   


大津絵教室を琵琶湖テレビで紹介されました


長刀弁慶を描いているところ(自宅の居間にて)