私の住む町 東広島市西条 『 日本の三大酒処 』
 
◆はじめに
 私は8年前、アプライアンス社に在籍中に東広島市にある㈱日本クライメイトシステムズ(通称JCS)に出向させて頂きました。そして3年前にPanasonicを卒業しましたが、現在も引き続きお世話になっております。
 JCSは1987年6月に当時のマツダ、Ford、松下電器産業が均等出資した合弁会社でマツダ車向けの空調システムを開発、製造、販売しており、国内は東広島市の本社工場と山口工場。海外はメキシコのサラマンカ、中国南京市に拠点があります。
 先輩の方々の築き上げた経営基盤のおかげでこれまでは堅実な経営を維持してきていますが、今、自動車業界は100年に一度の大変革期と言われており、JCSの経営も現状のままでは盤石ではありません。今後は空調システムだけでなくパワートレインなどの熱マネジメント領域への拡大も視野に入れ経営の舵を切り始めたところです。
 その縁あって私が8年前から住んでいます東広島市西条を紹介したいと思います。

   ㈱JCS https://www.jcsaircon.co.jp/
 
◆東広島市
 
 東広島市は1974年にJR西条駅付近の賀茂郡西条町に加えて志和町、高屋町、八本松町が合併して誕生しました。その後、周辺の黒瀬町、安芸津町などを編入し今に至っています。広島大学がこの西条に移転したことや広島市への通勤圏でもあることから今でも若い人を中心に人口が増加している地域になっており、ちょうど滋賀県の草津市に似た環境にあります。
 東広島市西条は広島県の中央に位置し、伏見と並ぶ日本三大酒処に数えられています。
 西条駅周辺には多くの白壁やレンガ造りの煙突が立ち並ぶ酒蔵があり長閑な風景をつくっており、通称『酒蔵通り』と言われています。この酒蔵通り周辺には地下の岩盤の下まで10年以上かけてたどりついた水をくみ上げていつでも誰でも飲める『仕込み井戸』が点在しています。この湧水はミネラルを多く含み酒造りの仕込み水として西条の酒造りを支えています。
 

西条の街並み


東広島市市役所


酒蔵の白壁でかこまれた酒蔵通り


マンホールもお洒落です


西条駅周辺に酒蔵がたくさんあります


杜氏のまかない料理から始まった美酒鍋

 
 
◆酒蔵通り
 
 西条駅の東に1kmほど延びる小路沿いに賀茂鶴、亀齢、賀茂泉など7つの酒蔵が立ち並び、白い漆喰壁や黒いなまこ壁など昔ながらの町並みを残しています。最近では、おしゃれなカフェやレストランも点在し、歴史、文化、くらしが織り成す景観を醸し出しており、この魅力に魅かれてここを訪れる観光客も年々増えています。
 

『御茶屋本陣』跡に建つ御門


赤レンガ造りの煙突


酒蔵の横にはイタリアンも

 
◆酒蔵
 
 明治時代に西条の南に位置する安芸津で三浦仙三郎が生み出した軟水醸造法は西条の酒造りの基礎となりました。地形的にも西条は標高200mの高所にあって冬の仕込みにあった気候と地下水に恵まれ、大正、昭和の初めには
『酒都西条』とも呼ばれるようになりました。
 昨年はこの西条の酒蔵を舞台とした恋物語を描く、川栄梨奈主演で大杉漣の遺作でもある『恋のしずく』が10月から全国で上映されていました。この映画では西条の街並みや歴史ある酒蔵、そして日本酒造りの魅力が存分に表現されています。

 

酒蔵がたくさんあります


白牡丹の『冥加の水』


映画『恋のしずく』のポスター


 
◆酒まつり
 
 毎年10月の第2土曜と日曜の2日間、西条駅周辺の酒蔵通りを中心に全国から20万人以上集まり開催されます。 全国の銘柄を飲み比べできる酒ひろばや5,000人の居酒屋ひろば、酒蔵コンサートなども開かれ、最近ではお酒を飲めない人や子供連れで賑わっています。

 

酒祭りでは幻のお酒もあります


最近では子供連れも多いです

 
◆東広島芸術文化ホール『くらら』
 
 西条駅近くに2016年4月に完成した芸術文化ホール『くらら』は1,200人を収容しバルコニー席を持つ大ホールや300人収容の小ホール、ギャラリーに大小会議室などがあり一青窈、太田裕美など我々の世代に馴染のあるコンサートが開催されています。

 

西条も文化都市になりました


『くらら』の看板です

 
◆西条駅
 
 西条の玄関口であるJR西条駅は、東広島市の中心地にあり、広島大学の最寄駅でもあるので東広島市の中で乗降客数は圧倒的に多い駅です。2015年1月より全面改装され新駅舎が完成しました。
 しかしながら昨年7月の豪雨災害以降JR山陽線が2カ月間不通となったため駅周辺は閑散としていました。9月に広島方面、10月に全面復旧したので今は普段通りの活気が戻っています。
 

改築された西条駅です


ときどきカープ電車が走っています

◆東広島駅
 
 新幹線の東広島駅は市中心部から離れているのと、1時間に1本、こだましか停まらないので普段は閑散としてします。西条駅とは逆に豪雨災害以降はこの駅しか通勤に使えなかったのでラッシュ並みの乗降客となり、駅ターミナルは送迎の車やバスで信じられないくらい混雑していました。


普段は閑散としている東広島駅


プラットホームには酒樽も

◆広島大学
 
 学生数約15,000人からなる広島大学は、医学部を除いて1974年に西条駅から南西に5kmほど離れた東広島市鏡山地区の広大なところに移転しました。そのおかげでこの地区は、西条の中でも若い人で活気づく学生街となっています。
 

広島大学正門


広大な敷地に広島大学があります

 
◆酒類総合研究所
 
 酒処らしく、酒類醸造に関する研究機関として東広島市鏡山のサイエンスパークに2001年に設立されました。
具体的には醸造法の研究、酒類の分析、鑑定を行っています。
 

酒類総合研究所


旧酒類研究所(現賀茂泉酒泉館)

 
◆鏡山公園
 
 鏡山公園は鏡山城址を囲む丘陵地帯にあります。池や公園、芝生広場などがあり春の桜と秋の紅葉はとても見ごたえがあります。しかしながら昨年7月の豪雨災害の時はなだらかな斜面にもかかわらず大きな土砂崩れが発生し今も公園の中のハイキングコースが歩けなくなっています。
 

鏡山公園入口


鏡山公園駐車場へ


鏡山公園の散策路からの風景


鏡山公園開園記念碑


                                                2019年1月          
                            〈投稿者〉 大津市 廣瀬 孝司さん