『 十禅寺川』  

 ◆「初めに」

   私たちの住む滋賀県の琵琶湖には460本の河川があるそうですが、そのうちの1本が私の住む町(桜が丘)
   を源流とする一級河川の「十禅寺川」です。今回は、その「十禅寺川」を下って紹介していきます。
   まず最初に桜ケ丘にも、今も残る灌漑用であったであろう溜池「こもれび池」があります。団地に降った雨水が、
   この「こもれび池」に溜まり水路を下って「十禅寺川」そして琵琶湖に流れていきます。

 ◆「こもれび池」

 
池の様子

 
こもれび池に流入する雨水の一部
   「こもれび池」には、冬になるとマガモが飛来し、ひと冬を過ごし帰っていきます。周辺の環境整備は地域の
   ボランティア「桜プロジェクト」の皆さんが行っています。
   「こもれび池」に溜まった水は宅地造成がされた、昭和40年代前半に整備された水路を流れ北口児童公園
   の下を流れ調整池に溜まり、交差点の下をくぐって玉川中学校の体育館横に流れ出てきます。

 ◆「八左衛門池」
   灌漑用のため池というと野路で有名なのが「八左衛門池」です。
   昔から野路山は保水性が乏しく、日照り続きには村人は大変困ったそうです。江戸時代の1852年に3年
   かかって村惣代の八左衛門が私財を投じ村人たちと谷を堰き止めて築いた「ため池」です。今は、立命館
   大学の、びわこくさつキャンパス(BKC)の東門の近くに、その顕彰碑があります。

 
BKCの東門近くの八左衛門池由緒
 
  ◆「玉川中学校」
   少し横道にそれましたが、水路は玉川中学校の体育館横の通学路「鍛えの坂」の横を下っていきます。

 
水路の左側は玉中の「鍛えの坂」

 
左側が玉中の通学路
   新幹線の高架で分断された田畑は住宅やマンション群に次第に浸食され続けています。

 
左側が水路(後ろが新幹線の高架)

 
通学路の水田と建築中の住宅
 ◆「十禅寺川起点と仮又池」
   さらに下っていくと京滋バイパスの下をくぐっていきますが、その近くには奈良時代の製鉄所跡の「野路小野山
   製鉄遺跡」があります。京滋バイパスを潜ると「十禅寺川」の起点を目指して流れます。

 
   上の写真の左が「仮又池」です。春には桜、秋には萩の玉川で知られる萩の花と、散歩する人の目を楽しませ
   てくれます。また、時期になると蓮の花も見られます。水路に沿って散歩で行きかう人がちらほら見られます。

   
 仮又池の景色(撮影時期の違う2枚)

    「十禅寺川」の起点は仮又池の流出口の近くに石碑があります。昔はホタルが飛び交っていたようです。

 
十禅寺川の起点の石碑
 
水路から河川(右)に

   近い将来にこの辺りは公園として整備され市民の憩いの場となる予定があり、ホタルが飛び交う日がくるかも
   しれません。

 
水田と南草津駅周辺のマンション群

 ◆「東海道と萩の玉川」
   さらに下っていくと、旧東海道と出会います。その近くにはこのコーナーでも何度となく紹介された「萩の玉川」
   があります。  

 
旧東海道との交差(右は瀬田へ)

 
旧東海道と「萩の玉川」
    旧東海道をくぐると、さらに国道1号線の南田山交差点の下をくぐり流れていきます。

 
 
 南田山交差点

   さらにJRびわこ線の下をくぐり抜けると「十禅寺川」は川の下町に流れる「旧十禅寺川」と左に流れる「新十禅寺
   川」に分かれていきます。治水のため一定水位を超えると左側の「新十禅寺川」に流れるようになっています。

   
 JRびわこ線をくぐった後の分流地点

 ◆「南草津プリムタウン」
   「新十禅寺川」の左に開ける、広大な農地は南草津プリムタウンとして宅地造成の予定です。野路町、南笠町、
   矢橋町にまたがる32ヘクタールが宅地造成される予定です。開発の事前発掘調査が行われていました。この
   近くは、5世紀のころの古墳群地域だそうです。

 
「南草津プリムタウン」予定地の一角
 
広がる水田

    「旧十禅寺川」を下っていくと川沿いに稲荷神社が祀られています。由緒記によると、開墾による先祖霊を慰め
   るために神社を祀ったとあります。また、この神社の境内には「横穴式石室古墳」があります。

 
由緒記

 
稲荷神社
   これを下ると、町はずれで新旧十禅寺川が再び合流しびわ湖に向かい下っていきます。



 旧十禅寺川  新十禅寺川  合流地点(左側が旧十禅寺川)
一面葭に覆われています
 
 ◆「老上西小学校」
   県道18号線をくぐると右側に平成28年4月に草津市で第14番目に開校した老上西小学校の真新しいグラウ
   ンドや校舎が見えてきます。先に紹介した稲荷神社の近くの老上小学校の生徒数が増えたため矢橋町に設置
   されました。草津市が住みよさランキング西日本2年連続1位となり、さらに人口が増加し続けています。
  

老上西小学校の真新しい校舎

 
老上西市民センター
   「十禅寺川」は県道18号線の下をくぐって真っ直ぐ琵琶湖に向かって流れていきます。
   川底には葭や雑草、雑木に覆われ水面が少ししか見えません。 
  
 
県道18号線の歩道橋より琵琶湖に向かって

 
琵琶湖に向かって
 

水草に覆われた十禅寺課川

 
白く点在しているのはごみでした
 ◆「オオバナミズキンバイ」

 
 
 黄色い花が咲いているオオバナミズキキンバイ

   水面を覆っている水草は「オオバナミズキンバイ」です。これは「特定外来生物」に指定され、生態系への悪影
   響を及ぼす可能性があるとされています。琵琶湖の「オオバナミズキンバイ」は2009年初めて確認されたそ
   うです。
   この生命力はちぎれた茎から根が出るほど生命力があり1日に3cm成長するそうです。十禅寺川の河口から
   琵琶湖に入ると左右に黄色い花畑かと見間違えんばかりにその「オオバナミズキンバイ」が湖面を覆っていま
   す。もとは、ペット用の熱帯魚を輸入の際一緒に持ち込まれたとみられています。「十禅寺川」にもこの「オオバ
   ナミズキンバイ」が美濃街道橋近くまで遡上しています。


 
 琵琶湖の湖面を覆う水草(奥は矢橋帰帆島)

 ◆「雑感」
   長い歴史の中でこの地で暮らした人々の息遣いが感じられてくるようでした。長い歴史の中のほんの一瞬でし
   たが、竜神への雨乞いと灌漑用のため池、野路小野山製鉄所の遺跡、奈良時代の古墳群とその霊を慰める
   稲荷神社、洪水と治水のための分流、人口の増加と宅地開発、自然環境の変化など、河川と人との関わりが
   「十禅寺川」を下って見えてきました。

                                                      2016年 9月                  
                                                      <投稿者>                      
                                                      草津市在住  矢尾 壽朗