「湖南市 菩提寺の史跡」

菩提寺の歴史

琵琶湖の南に位置する、湖南市菩提寺は、今から1300年程前 元明、元正、聖武天皇と3代に亘りお仕えになってご活躍された、良弁僧正が聖武天皇時代の天平3年(731年)に開基の国家鎮護祈願の大道場として寺院を建立され、名を『円満山大槃若院少菩提寺』とつけられた。
その寺の名が中世以降、地名となっております。
良弁僧正は、近江国志賀の出身で奈良にて修行され、東大寺の大仏や淀川改修工事などに大いに貢献された。また生涯の間に、歴代天皇のご意志に従い、全国各地に寺院を開基、建立されました。
良弁僧正が開基した『少菩提寺』は当時 立派な七堂伽藍が立ち並び、里には37ヶ所の坊・院が立っていたことが記される約600年前の古文書・古絵図が残っています。
織田信長の兵火によりほとんどが消失していますが、今でも竜王山の南側の中腹山中には寺院の跡地が残っています。また再興されたお寺は東光寺が正念寺に、禅祥坊が西応寺に、そして阿弥陀院が転地して今の阿弥陀院、阿弥陀院の跡地に菩提禅寺がそれぞれ改宗して現存しています。

参考 栗東市の金勝寺を中心として大菩提寺と呼ばれていたのに対し、
当地の円満山大槃若院を少菩提寺と呼ばれていた。
※上記の歴史は、菩提禅寺 ご住職に学ばせていただきました。

【当時の村落】
 八王子村・石林(さぎ)村・谷村・中村・出月(いつき)村の5集落であった。
【付近の神社・仏閣・遺跡】
「八王子神社」
 以前は八王子村(現在のサイドタウン付近)にあったが、度重なる土砂崩れ
 により土中に埋まったため現在の処に移転した。
 神社の特徴
   1.暦の神様
   2.七重の塔(石塔)  開山塔・南北朝時代・市指定文化財
   3.石灯籠       春日式・銘貞治4年(1365年)
               国指定重要美術工芸品
   4.六角柱の鳥居    全国でも珍しい鳥居
   5.薬師霊水      阿弥陀院裏山地地下より湧き出ている聖水
「西 応 寺」 禅祥坊の跡地に改宗し再興された寺  0748−74−1051
 寺の特徴 
   1.禅定安居岩 金粛菩薩  (良弁僧正)
   2.本尊阿弥陀如来立像 市指定文化財
   3.廃少菩提寺古絵図  明応元年壬子(1492年4月25日)
               興福寺官務家之古図を以って之を模写すると書かれている
   4.庭園(枯山水)は一見の価値あり
「菩提禅寺」 阿弥陀院跡地に黄檗宗に改宗し再興された寺 0748−74−1035
 寺の特徴
   1.本尊阿弥陀如来立像(藤原時代・国指定重要文化財彫刻)
   2.石地蔵菩薩 永正16年(1519年8月)市指定文化財
菩提禅寺近隣の石仏群
石地蔵菩薩立像三体
(中尊・鎌倉初期・両脇尊・南北朝)
国指定史跡
多宝塔 (銘仁治2年(1241年))
国指定重要美術品建造物
全国に3塔しかないとも言われている
  閻魔石造 古文書には銘延長2年甲甲(924年)と書かれているが、残念ながら写真ありません。
『その他』
  斎(いつき)神社  0748−74−1557
   紫式部が書いた「源氏物語」に登場する斎王一行が伊勢へ行く途中、当地に泊まったと伝えられている
   
  阿弥陀院
   0748−74−1040

正念寺
 菩提寺で500年を越える歴史を持つお寺
 0748−74−2791
  和田神社
   西暦731年建立。素盞烏命(すさのうのみこと)またの名を牛頭天王(ごずてんのう)を奉る。
   0748−74−2791
   和田神社の山上には佐々木六角の谷城跡も存在しています

後記
湖南市菩提寺は現在人口増加率が全国的にも上位の地であり今も発展しています。
また歴史的にも大変価値がある土地であることが今回の取材を機に勉強できました。
是非一度歴史の村菩提寺へ散策にお越しください。運がよければ菩提禅寺のご住職より、書ききれなかったもっと深い歴史についてお聞きできるかもしれません。

《交通》菩提禅寺・西応寺周辺
  バス 1.JR琵琶湖線 野洲駅より北山台行きに乗車(約20分)菩提寺公民館前下車 徒歩10分
     2.JR草津線 甲西駅下車 バス約15分 菩提寺公民館前下車 徒歩10分

  車  1.国道1号線石部口交差点を北上、野洲川を渡って菩提寺交差点を左折 または
      2.国道8号線 御神神社前を近江八幡へ向かって右折して菩提寺西交差点近く
       名神栗東ICより約15分

   ※西応寺駐車場に車を止め散策がベストです

取材 明智 榮一  2008年2月