黄泉(よみ)の国

松江から国道9号線を東に進むとJR揖屋駅の少し先右手に「黄泉の国入り口」という標識があります。
その100m程先で国道を降り、右折して山の方に300m位行った所が「黄泉比良坂(よもつひらさか)」です。
古事記・日本書紀の時代は神々が住んでいるのは「高天原」で天上にあり、死者が住むのは「黄泉の国」で地下にあるとされていました。
そしてその「黄泉の国」と現世の境がこの「黄泉比良坂」の地であると記されています。

古事記によると、イザナギノミコトとその妻イザナミノミコトは日本列島を作り、イザナミは多くの神様を産みますが、火の神を産んだ時火傷をして死んでしまいす。
イザナミを追ってイザナギは黄泉の国に行き、漆黒の闇の中で現世に戻ってくるようにイザナミに頼みます。
イザナミは「それでは黄泉の神様に現世に戻れるように頼みますので、その間決して私の姿を見ないでください」と言いましたが、イザナギは火を灯して見てしまいます。
そこには腐って蛆のわいたイザナミの姿があり、あわてて帰ろうとします。
怒ったイザナミは黄泉の軍勢を差し向けますが、「黄泉比良坂」まで逃げ帰ったイザナギはそばにあった桃の実を軍勢に投げつけて足止めし、その間に入り口を岩で塞いだ後イザナミに離縁を申し渡しました。
イザナミが「このようなひどい仕打ちをするのなら、あなたの国の人間を毎日1000人ずつ殺します」と言いましたら、イザナギは「それなら私は毎日1500人の子供が産まれるようにしよう」といい、それから日本の人口は毎日500人ずつ増えていったとされています。

現在は少子化が問題となっていますが、神話とは言え何とも壮大・壮絶な離婚劇でその舞台となったのがこの地です。

(情報 千田)
国道横の看板 黄泉比良坂(黄泉の国の入り口)
伝説地碑 入り口を塞いだといわれる大岩