若桜宿の「カリヤ通り」 |
鳥取県若桜町は鳥取県の南東端、西日本では数少ない樹氷で有名な兵庫県の氷ノ山(標高1502m)の麓にある町です。 13世紀初め、駿河の国の住人矢部十良暉種が戦功により鎌倉幕府からこの地を賜わり、鶴尾山に鬼ヶ城を築き、城下町として町作りが行われましたが、1617年一国一城令の発令により廃城となり、その後は因幡国と播磨国を結ぶ主要街道の宿場町として栄えてきました。 しかしながら、昭和の中頃から鉄道網の発展により、街道を通る人は急減して、現在は人口の減少が続いて、高齢化が進む典型的な中山間部の町となっていますが、町には栄えていた往時の様子を今にとどめている見所が多く残っています。 その代表的なのが「カリヤ通り」で、通りの両側には清流が流れる水路が有り、飲料水としてまた流雪用として活用されてきました。 街道沿いには雪を避けて歩くことができるように、カリヤと呼ばれる雪よけの屋根が設けられています。 東北や北陸では雁木と呼ばれる同じようなものがありますが、雁木が家とは別に雁木として作られているのに対して、カリヤは家の軒そのものを長く突き出して作られていて、屋根から落ちた雪が直接水路に落ちるようになっています。 家の通りに向かった面は、格子造りでその格子の所々に小さな窓があります。 これはお伊勢参りなどの旅人がこの窓から柄杓を差し入れると、家の人がその柄杓に米やお金を入れてやることにより、寒い外にでることなく、また見知らぬ人を家に入れることなく寄進することができるよう工夫されたものです。 表通りの格子に対して、裏通りに面しては各家土蔵があり、裏通りは「蔵通り」と呼ばれる白壁土蔵群となっています。 これを見ても往時のこの界隈の豊かさが偲ばれます。 (情報 千田) |
街道沿いの民家 | 窓のある格子 |
カリヤ | 蔵通り |