平成9年松江市立病院の移転予定地の「田和山」に古墳があるのではないかということで、工事に先立って発掘調査をしたところ、古墳ではなく弥生時代の環濠集落跡であることがわかりました。
その後「計画通り山を切り取って病院を建てるか」「遺跡として残すか」で数年議論になりましたが、活発な保存運動と全国からのたくさんの要望・陳情により病院と遺跡の共存策が検討され、病院建設は隣接地に変更して遺跡を現地に残すことになりました。
環濠集落は全国で数多く発見されていますが、いずれも環濠は集落の外側にあって外敵から部落を守るために造られています。
それに対して田和山遺跡の環濠は山頂付近に山頂を取り囲む形で3重にあり、住居跡は環濠の外側にあるという全国でも類を見ないものです。
この形態については、山頂に小さなお城のようなものがあったという説と祈祷所のような祭礼にまつわる建物があったという説があります。
いずれにせよ珍しい遺跡として平成13年に国指定史跡に指定されました。
平成17年、市立病院も完成し、田和山遺跡も当時の住居を復元するなど史跡公園として自由に見学できるよう整備されました。
また山頂からの宍道湖の景色はすばらしく、宍道湖の優れた景観を見ることができる展望地の1つに揚げられています。
市立病院から山頂まで徒歩10分足らずの小さな山ですので一度行ってみてください。
(情報 千田)
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