鉄の町

奥出雲町から雲南市吉田町にかけての奥出雲地方は、良質の砂鉄が取れ古くから製鉄が盛んに行われていました。

明治になって近代的な溶鉱炉による製鉄技術が導入され、八幡製鉄などの巨大製鉄所ができるまでは、この地方はわが国最大の鉄の生産地で、国内の鉄の半分以上を生産していたそうです。

この地方の製鉄は粘土でできた炉の中に砂鉄と木炭を交互に入れ、足踏みふいごで空気を送りながら高温にして、3日3晩かけて砂鉄を溶かし鉄の塊として取り出す方法で、この工法は「たたら製鉄」と呼ばれています。
この「たたら」でてきた鉄の塊を「ヒ(けら)」といい、このヒから不純物などを取り除いた鉄を「玉鋼(たまはがね)」と呼んでいます。

この「たたら製鉄」は手間とコストがかかることから、現在では実際に生産しているところはほとんどなくなっていますが、「玉鋼」は溶鉱炉による製鉄では作ることのできない固さと弾力性を合わせ持っており、日本刀作りに無くてはならない鉄として、唯一奥出雲町の横田町で生産されて日本中の刀匠に供給されています。

また安来市にはこのたたらの技術を生かしてロケットを初めとする最先端技術の材料を生産する世界でも指折りの特殊金属の工場があります。

このような背景より、出雲地方には奥出雲町の「奥出雲たたらと刀剣館」「たたら角炉伝承館」、雲南市の「鉄の歴史博物館」「菅谷たたら山内」、安来市の「和鋼博物館」など鉄に関する博物館・資料館が数多くあります。

(情報 千田)


たたら製鉄 和鋼博物館