三方向に鳥居のある神社

宍道湖大橋の北詰、松江市西茶町に鎮座する「須衛都久神社(すえつぐじんじゃ)」。

「権現さん」と称えられ、主祭神はイザナミノミコト、スサノオノミコト。出雲国風土記に記載されている「須衛都久社」が今日に至ったもの。古くは城山亀田山に鎮座していたが、堀尾氏の松江開府、亀田山築城で遷座し、災害も経験し、1677年に今の社地に建立された。
江戸時代は末次郷の総産土神(うぶすながみ)として藩主松平氏に、明治以降は県庁の産土神として崇敬されており、社殿にも「三つ葉葵」があしらわれている。

この神社には方向の異なる鳥居が三基ある。本殿の向きと同じ東、お城の方向の北、宍道湖を向いた南。

当初は東と南の鳥居。宍道湖大橋の通りが拡張され参道が北向きに曲がり、北の鳥居から入る様になった。

一方、南側は、昔は神社まで宍道湖だった。神社の呼び名からこのあたりを権現灘と言い、水上からの参拝や、行商の船着き場として賑わったとのこと。

使われなくなった南の鳥居は塞がれて、狛犬と一緒に草むらの中に建つ。鳥居の左右には航行の目印となった「高石灯籠」があり往時をしのぶことができる。


(情報 和田森)


隋神門ごしに拝殿を見る 大社造りの本殿と拝殿
拝殿と南の鳥居と高石灯籠 東と北の鳥居