そろばん交流

島根県奥出雲町の旧横田町はそろばん生産日本一の町で、その生産量は全国シェアの7割を占めています。
JR横田駅の側には「雲州そろばん伝統産業会館」があり、実際にそろばんを作る工程なども見学できます。

横田町ではそろばんが地場産業として栄えていましたが、電子計算機などの普及で需要が減少の一途にあり、その打開策を模索していたところ、「日本民際交流センター(MCJ)」から「タイでは店でお釣りの計算もできない従業員も多くタイの子供たちの基礎計算能力の向上にそろばんが役に立つ」との提案がありました。
そこで横田町とMCJの協力でタイへの国際協力事業を実施することになり、平成6年にタイでも最も貧しい東北地方のロイエット県に2名のそろばん指導者を派遣してそろばんセミナーを開催しました。
このセミナーは直接子供たちにそろばんを教えるのではなく、タイでのそろばんの普及を目指して、タイの学校の教師をそろばん指導者として育成するものでした。
このセミナーは毎年続けられ、平成9年に視察に来たタイ教育省の副大臣がそろばん効果を高く評価し、小学校の教育カリキュラムにそろばんが導入されることになりました。

またそれと合わせて、「タイへそろばんを送ろうキャンペーン」が開始され、
家庭や事業所で眠っているそろばんを集める活動をしたところ、平成15年までに45,000丁以上のそろばんが集まりタイへ送られました。
現在では日本でそろばん研修を受けて帰国した研修員が指導を行うなどもあり、タイではそろばんができる教師が1,400名を超えています。
またこの活動は隣国ラオスにも展開されて、試験的ではありますがラオスの10の小学校でそろばんの授業が始まっています。

(情報 千田)

雲州そろばん伝統産業会館 そろばんを学ぶタイの小学生