古代出雲の墳墓群「王陵の丘」

安来市のJR荒島駅南側の標高約50mの丘陵一帯は、約2km四方にわたって、弥生時代から古墳時代にかけての墳墓が数多く存在し、「荒島古墳群」として国の文化財に指定されています。
「荒島古墳群」は公園として整備されている4つの墳墓群とその間に点在している古墳から成り立っています。

荒島駅の西方800m程の線路の南に「造山公園」があります。「造山公園」には4つの古墳があり、1号墳は一辺が60mの全国で一番大きな方墳です。山頂の2号墳から中海・島根半島を望む事ができます。
また公園駐車場の少し東側の道路沿いに露出した大きな岩があって、この岩には地元の小学生の手により像が浮き彫りで彫らており、「安来のミケランジェロ」と名付けられています。

「塩津山公園」は荒島駅北東、山陰自動車道のトンネルの上にあり、1号墳は弥生時代にこの地で最初に造られた古墳といわれています。天気が良いとここから雄大な大山を望むことができます。

「仲仙寺公園」と「宮山公園」は「塩津山公園」の東側の丘の下にあり、「仲仙寺公園」は16の古墳があったそうですが、現存しているのは2つだけで、その中の9号墳は方墳の四隅が突き出した出雲独特の「四隅突き出し墳墓」の存在を全国に広めた古墳として有名です。
「宮山公園」の1号墳は現在は見ることができませんが、全長60mの前方後円墳で、出雲地方の前方後円墳の先駆けとなった古墳といわれています。4号墳は中規模の「四隅突き出し墳墓」で、築造当時の姿に復元されています。

その他豪華な副葬品が出土した「仏山古墳」、自然の岩盤を掘り込んで造られた「塩田横穴墓群」、造山1号墳と並ぶ大きさの方墳「大成古墳」、石棺を覆っていた土が流出して石棺が露出している「塩津神社古墳」など多くの古墳があります。

これだけ多くの古墳が集中しているのは、この地が位の高い首長が集まって住んでいた古代出雲の中心であった証であるということで、この地は「王陵の丘」と名付けられました。(造山公園だけを「王陵の丘」ということもあります)

(情報 千田)

造山2号墳(前方後方墳) 安来のミケランジェロ 
仲仙寺9号墳(四隅突き出し墳墓)
石棺が露出している塩津神社古墳