一斗餅地蔵 |
宍道町来待の横見地区に伝わる話である。 「昔、村に大男の力持ちがおったげな。この男と村の連中が連れだって、美保関の明神さんへ参ったげな。男は灘の者が追いかけて来るからと皆を先に帰し、灘の者に向かって大きな石を持ち上げ『こげな大きな石が持てるか』と何回も何回も投げたげな。『いままでこの石を動かいた者はおらだったに、お前はどこのもんだ』と聞いたけど、男は返事をせんでもどったげな。 灘の者が本気で怒って追いかけて来て、痛い目に合わそうと思ったが、力では負けるので、餅を腹いっぱい食わして困らせてやろうと山のてんこで餅をついたげな。男は『これはおかしいぞ』と思ってあっちこっちのシブキの陰にダイコンを隠しておいた。餅が好きだったのでなんぼでも食ったげな。せつんなったら、あのダイコンを食えば腹がこなれると安心して食ったげな。『もっと食わっしゃい』と言われてとうとう一斗の餅をみんな食ってしまったげな。そうしたら腹が苦しくなり、ダイコンを食わないと死ぬと思い、シブキの下を見たがダイコンが無い。おかしいと思い他のシブキの下を見ても無い。男はなんぎでたまらんけんシブキをみんな抜いて投げたが苦しくて死んでしまった。灘の者は死んだ所へ地蔵さんを立てたそうだ。これが一斗餅地蔵だと。そして、その山にはシブキが1本も生えていないということだげな」(島根むかし話より) この地区に「一斗餅地蔵」と思われるものは3体ある。どれがその地蔵なのか、あるいは代変わりをさせたのか分からんげな。 一斗餅の由来も、とても一斗の餅は食えないので「えっと(たくさん)の餅」が分かり易くなまり、一斗の餅になった!!とも・・・・? |
現在一斗餅地蔵と言われている六地蔵尊 | 横に移された初代と言われるものか | これではないのかと言う説もある |