逆千木の日御碕神社

島根半島の西端に鎮座する「日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)」。権現造で朱色の社殿が周りの緑に映える。

近くにウミネコの繁殖地「経島(ふみしま)」があり、山と海の神域からなる。

現在の建物は三代将軍家光の命により、松江藩主京極忠高が着手し、10年後の1644年に松平直政が完成させた。

かつて日御碕大神宮と称されたこの神社は、「日沈宮(ひしずみのみや)」(下の宮)と「神の宮」(上の宮)の両宮の本殿を中心として構成される。「日沈宮」はかって「経島」にあったといわれ、「神の宮」は背後の山の「隠ヶ丘」にあったと言われる。

祭神は「日沈宮」が天照大御神。「神の宮」が素盞鳴尊である。

「日沈宮」は「天照大御神は、日の出る伊勢国の皇大神宮に鎮座して日本の国の昼を守護し、日の沈む出雲の国の日御碕大神宮に鎮座し夜を守護する」といった勅による。

ところで、この神社の千木は女神の天照大御神を祀る「日沈宮」が外削ぎ(垂直カット)の男千木で、男神の素盞鳴尊を祀る「神の宮」が内削ぎ(水平カット)の女千木である。日の出を管理する伊勢神宮に対し、入り日を管理する神社なので千木が逆なのかなと思い聞いてみたら、昔からこの通りだとの返事。逆になっているという説明ではなかった。男千木、女千木の区分はもう少し後の時代のようだ。そういえば、出雲古代歴史博物館に展示してある古代出雲大社の再現摸形にも両方の千木がある。理由は不明。

出雲の国はまだまだミステリアスである。



(情報 和田森



 日御碕神社全景  楼門
   
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