同好会活動アーカイブ

パナソニック松愛会京都支部

● 京都・学ぶ会 活動報告 ●

51回 「京都・学ぶ会」を開催しました

「僕も版画を楽しんでいる老人です!」

    ● 講 師:  中村 美知生様 (版画家)
    ● テーマ:   僕も版画を楽しんでいる老人です!
    ● 日時&場所:  201999日(月) ラボ―ル京都・4F
    ● 参加数:  41

 講師の中村美知生様は、1950年京都生まれの京育ちの69歳の版画家であり書家でもあります。梅津小〜四条中〜桂高校〜京都教育大学(書道専攻)を卒業後、京都市立中学校教諭に採用され、国語科教諭として教員生活を始められました。その後、堀川や紫野高校の芸術科(書道専攻)に替わられ、60歳で定年退職されます。大学在学中から京展(書)に入選され作家活動を開始されました。その後版画家の友人との出会いから版画の世界に入られ、主に版画の世界で活躍されます。現在は、版画に書を添えられた作品も発表されています。

 講演のはじめは、自分の生い立ちを面白く話されました。本当は医者になりたかったそうですが、高1の時の大病の影響で進路変更を余儀なくされ、知恵を絞って京都教育大学の書道に入られました。

 版画の歴史を遡ると、江戸時代に浮世絵がありました。「版画は印刷物である」即ち、工業(職人)的実用的印刷物(複製)として、分業により制作され広く頒布されました。現代でも有名画家(東山魁夷など)の版画作品はこのようにして作られています。その後、「創作版画」(画家が自画・自刻・自摺する版画)大正・昭和初期に全盛。が生まれ、「新版画」(大正初期に浮世絵の復興を提唱して起こったが昭和初期に衰退)そして「現代版画」につながって行きます。でも1970年代までは「洋画」の中の一部門であり、「洋画」より一段低い位置に見られていました。現在は、多種多様な技法(版種)で以って様々な版画作品が発表され人気を博しています。例えば、凸版、凹版、平版、孔版、木版、銅版画、石版画、シルクスクリーン版画、謄写版画などがあります。
 版画を身近に感じるには、「版画」を観る楽しみ、知る、買う、集める、飾る、作るが挙げられますが、その中から自分に合った楽しみを見つけ、自分自身が幸せと感じることが大事であると話されました。

 講演の最後に皆を呼び寄せて、版画制作の実演を見せていただきました。日頃見られないものだけに皆さん興味を持って見られ、会員の中には実際に自分で版画に挑戦したいという人も現れました。講演中は終始立って、身振り手振りを交え、面白いエピソードをはさみながら、迫力のある語り口で話されたので、時間の経過を忘れる程でした。
 最後は満場の拍手で講演が終わりました。

 

 

 

 

 

会員が集まってきました

西脇幹事の諸注意

藤川会長の紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講師の中村美知生様

前から

版木

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講師の中村様  佳境です

有名な北斎の浮世絵です

展示会の風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演も佳境です

皆が集まってきました

実演が始まります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実演を見る会員

丁寧に実演されました

大きな拍手で講演は終わりました

 

 

 


第50回 「京都・学ぶ会」を開催しました

〜 漆に魅せられて そして 京都について思うこと 〜

  ●講   師:     平瀬 力様(漆工芸家)
  ●テ ー マ:     「漆に魅せられて そして 京都について思うこと」
  ●開催日時&場所:  2019年7月22日(月)、ラボール京都・第8会議室
  ●出席者数:      41名

 講師の平瀬 力様は1942年生まれの77歳の漆工芸家ですが、大学を卒業して京都市役所に奉職され、主に観光行政や伝統工芸の分野のお仕事をされました。1980年から漆を塗り始められました。京都生まれですが、ご両親が飛騨高山の出身であり、また京都の蒔絵師親娘との出会いがあり、この世界に入り込まれました。

 まずは漆の不思議さについて話されました。漆黒は「東洋美の象徴」と言われ、深みのある光沢のある色艶が魅力です。漆の木は世界に70余属600種以上ありますが、漆の取れる木のみ「漆の木」と呼んでいます。国産漆が最高ですが、日本の年間使用量が40〜50トンで、それの4〜5%しか日本では取れません。ほとんどが外国産です。従って大変貴重で高価なものです。漆の木は15年育ててやっと液がとれますが、1本の木から僅か250〜270gしか取れず、しかも1年だけしか取れません。漆の特徴として、湿気(室:20〜25度/75〜80%)で乾燥させます。漆器は、木地を選び、成形、塗り、乾燥、加工(絵付け他)と工程が多いので、商業ベースでは分業されていますが、平瀬様は成形から塗りまでの一貫制作をされており、今では漆の木を育て、漆そのものも採取されようとしています。「japan」は、「漆」「漆器」の代名詞としても知られていますが、日本人がもっと漆(器)の魅力を再認識し、日常生活に取り込んでその良さを愉しんで貰いたいものです。

 後半は京都について思っていることを語られました。ご本人が京都市役所で長年勤めておられたので、その立場からも京都について一家言を持ってておられます。
 まず、現状の京都は騒々しいとのことです。世界1or2位の観光都市として、年間約5400万人もの観光客が訪れます。京都には他所にない宝物や文化を沢山持っています。騒々しいのは京都にふさわしくありません。上賀茂神社近くの橋から見る北山の風景は実に素晴らしく、今までどうして残されてきたかを考え直すことが大事です。市民がしっかりした考えを持ち、「フロー」よりも「ストック」を重視し、守るべきものは守るという気概を持つことが肝要だと訴えられました。京都の市内(街中)に人が住んでいる、また住める街を維持するためには、他所の都市と同じことをしては駄目で、京都らしさをどう残していくかを市民一人ひとりが今こそ真剣に考える必要があると締めくくられました。
 Q&Aでは、大江さんからハワイの話と、波多野さんからは雲ケ畑の自然(森林)の取り組みについて話がありました。

 因みに、今回で、「京都・学ぶ会」が50回目の開催になりました。発足して8年余が経過しました。更に100回を目指して頑張って行きたいと思いますので、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

会員が集まってきました

西脇幹事の諸注意

藤川会長のプロフィール紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講議が始まりました

講師の平瀬様

再び平瀬力様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漆は貴重です

漆の木

木汁から漆を取ります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩時間にたくさんの人が

後半は京都について語られました

後ろから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講演が終わりました

質疑で大江会員と対話

温かい拍手で終わりました

 

 

 


第49回 京都学ぶ会開催しました

表具の世界

     ● 講  :    衣川 充洋様 (表具師、日本画家)
     ● 開催日:    2019年5月27日(月) ラボール京都・第8会議室
     ● テーマ:    「表具の世界」
     ● 出席者数:   43名

 福知山市出身の表具師、衣川充洋様(47歳)に「表具の世界」を語っていただきました。
家業の表具店を継いで、表装一級技能士、京表具伝統工芸士でありますが,佐藤太清(文化
勲章受章者)等に師事され、日展会友の日本画家としても活躍されており、会場には自作の
掛け軸が並べられました。仕事上、お茶の世界(裏千家淡交会所属)でも地域の役職を持たれて
活躍されています。
 
 午前中に初めての試みとして、「ミニ屏風作り体験教室」を2班、各5人づつが参加して
行いました。講師の懇切丁寧な指導のもと、参加者は初めての表具を自分の手で行い、
両開きのミニ屏風を完成させて達成感を味わいました。いずれも素晴らしい出来で映えで、
満足のゆくものでした。

 最近は表具師のお世話になることは極端に少なくなりましたが、表具には長い歴史があります。
10pに及ぶ講演資料が配布されました。表具は仏教の伝来とともに、鎌倉時代に中国・宋時代の
表具形式が日本に伝来され、室町時代に今の形式が完成しました。お茶の世界との関わりが大きく、
最初は絵画ばかりでしたが、室町中期から中国僧の墨蹟を掛け始め、次第に日本人僧侶の墨蹟を
千利休が珍重しはじめ、『掛物ほど第一の道具はなし・・・』と言われるほどになりました。
利休がまた本紙の保存を重視したことが、今の文化財保存の意識に残っています。

 表具の各部名称と種類(巻物、屏風など)、表具の種類、材料の説明(裂地、軸先、和紙、糊)
掛け軸を掛ける時、掛け軸を終う時、手入れ(年2回春と秋の晴れた日)についても詳しく説明を
していただきました。特に、掛け軸のしまい方のコツを、実技指導を加えて親切に教えていただきました。 

 参考品として、「源氏物語」に由来した自作の掛け軸等を数点後方に並べられました。
表具師と呼ばれはじめたのは江戸時代からで、それまでは装こう師(巻物)、経師屋、表補衣師に
分かれていました。最近は日本家屋の中に床の間がない家が多くなり、掛け軸等の需要が激減して
います。この機会に是非日本の伝統工芸である表具に関心も持ち、家の中に掛け軸などの表具
作品を展示して貰えれば今回の講演の意義があったと思いました。

 エプロンをかけた職人さんのいでたちで、裏打ち(糊張り)等を実演していただきました。
質問にも丁寧にお答えいただきました。講演の最後には大きな拍手が送られました。

 講演会終了後総会があり、藤川会長より講師を交えた懇親会への参加希望があれば申し出て
下さいと提案され、また森岡会計より前年度の収支報告がされ、これらの議題はすべて承認されました。

 

 

 

 

 

1班体験学習

2班体験学習

丁寧に指導していただきました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西脇幹事の諸注意

藤川会長の講師紹介

講師の衣川允洋様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講義が始まります

衣川允洋様

前から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから

後面に展示された掛け軸

体験作品乾燥中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実演風景(1)

実演風景(2)

質問にも丁寧に

 

 

 

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