旧福知山線廃線跡ウオーク

第204回 くらわん会例会 2013/5/7(火)


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行程〉 JR・西宮名塩駅 ⇒ 鉄道廃線跡・北山第一トンネル ⇒ 北山第二トンネル ⇒ 横溝尾トンネル
     ⇒ 第二武庫橋梁 ⇒ 長尾山第一トンネル ⇒ 桜の園 ⇒ 長尾山第二トンネル
     ⇒ 長尾山第三トンネル ⇒ JR・武田尾駅 (解散)
距離〉  8Km  〈参加者〉101名
JR西宮名塩駅

 今日の集合場所はJR西宮なじお駅。「ナジオ? 横文字?」ラジオと響きが似ているので、瞬間 英語名では…と思ったが歴とした日本語。 名の由来の1つが “15世紀中頃の史書に、当時『内塩』と呼ばれた地名があり、往古この地は塩之原山(有馬温泉)の山内にあり、そこから内塩と呼ばれ 後に『名塩』になった”とある。

 西宮名塩駅へは本拠地『枚方市』からJR等でたっぷり90分。宝塚駅までは線路の左右途切れることなく住宅が広がっていたが、宝塚駅を過ぎてからは一挙に山が迫って来る。大きなトンネルを抜けたと思ったらそこが『西宮名塩駅』。乗降客は結構あって駅も立派だが見慣れた駅前の風景はない。駅の横に大きなスーパー『阪急オアシス』。10時前だというのにお客さんがちらほら。我々の仲間もここで弁当や飲み物などを調達している。2階建ロータリーの1階部分で本日の参加者の確認。朝会が始まった。

 今日のコースは『旧福知山線廃線跡ウオーク』。公には認められてなくJR西日本が黙認しているもので、至る所に“万一の場合、その責任は負いかねる”の看板で警告しているが、世はハイキングブーム。しかも季節は新緑真っ只中の5月初旬。 GW明けでハイカー族の姿は少ない。快晴だが少々肌寒く絶好の“ウオーク日和”いざ出発。

  この時間帯には駅周辺に地元の人の歩いている姿はない。左手高い処に警察署、右手下は名塩川。せせらぎは聞こえないがどこからか鶯の声。シャレた『ルネシーズンズガーデン』を左手に見ながら、「住むには良いが通勤は大変だろうな…」と思いながら、『名塩川』に架かる『石坂橋』を渡り左折し昔の面影を残す『名塩木之元』集落に入った。左手にある美容院を過ぎた先には急な下り坂。30mほどの小道の両側は雑草と木々に覆われている。通り抜けたら『廃線跡』に出た。予想以上に整備 いや歩き易さそう。ハイカー族が良く歩くせいであろう。

 福知山線は沿線の発展による旅客の増加で複線電化の要望が強く、武庫川渓谷沿いの路線を諦め生瀬 〜 道場間に長大なトンネルを貫通させ、1986年8月に新線に切り替わり旧線は廃線となったが、特に生瀬 〜 武田尾間の廃線跡は景観抜群の武庫川に沿っていることもあり今や絶好のハイキングコースとなっている。上流 いや鉄道なので“下り”に向かって歩き出した。

少し進んだ処の岩の上に見張り台?の残骸(失礼!)が。この辺り渓谷には『高座岩』『人面岩』の名がついた岩もある。対岸の岩肌に鉄骨足場が。ここに造る計画だった幅160M・高さ73Mのダムの地質調査のためのものだ。最初のトンネル北山第一トンネル(318M)が見えてきた。SL時代が懐かしいレンガ造りのトンネル。ここで最初の休憩に入り、リーダーから「懐中電灯の用意」の声。トンネルは懐中電灯無しでは進めないが枕木が土砂に埋まっているので意外と歩き易い。
 
 トンネルを出た辺りから枕木・バラストが多くなり少々歩きにくくなったが「気分は最高! 正に廃線跡ウオーク」。 現役を終えた保線作業用避難所や速度制限標識等が朽ちるに任せ残っている。やがて現れた北山第二トンネルは最長の413M。 その入口付近の側壁になぜか枕木が立てかけてある。椎茸栽培を始めるつもり? トンネルはカーブしているせいか先が全く見えず真っ暗闇。

 暫くすると『溝滝・なまず淵』。ここで再び休憩。この辺りの水の流れは迫力があり絶好の景観。武庫川に護岸を築いて通らせた旧福知山線は所々川まで下りられる鉄梯子がここにも残っていて冒険心をそそるが今日は下りるのを止めておく。3番目の『溝滝尾トンネル』の出口の向こうに突然鮮やかな赤色の『第二武庫川橋梁70M』が姿を現した。そこには2ヵ月前には無かった新しい防御フェンスが。仕方なくと云うより恐る恐る保線用通路で橋梁を渡る。眼下10mには武庫川 恐怖指数は最高値。続いて『長尾山第一トンネル』。出た所から武庫川の渓谷は左手となる。流れは次第に穏やかになってきた。

 この辺りから『廃線跡』は極々普通のハイキングコースのようになり、ハイカー向け?に「桜の園300m」「武田尾駅1600m」の看板まで立っている。 『桜の園』は宝塚市が管理・整備している里山公園。一角に『さくらの名所“たけだお”案内図』と『桜の園・亦楽山荘』の看板が。山荘は『桜博士』と呼ばれた笹部新太郎氏が桜の保護育成研究に尽力した演習林。水上勉の小説『櫻守』の舞台にもなった処だが、今日は廃線跡だけに集中。

 短い『長尾山第二トンネル』更に『長尾山第三トンネル』を抜けると武田尾の町が見えた。漸く見つけたトイレ辺りで昼食休憩の合図。確かこの数10m先が旧武田尾駅の筈だ。新武田尾駅まで10分くらいなので今日は昼食兼解散だ。トンネル内を歩くという滅多にない機会のためワクワクしながら2時間強は、枕木とバラストのせいもあり流石に疲れた。

 昼食後は武田尾のメインストリートと云っても民家と僅かな土産物屋が並ぶ小道を新武田尾駅に向かうが、途中から道路はかっての福知山線の跡を整備舗装したもの。左手武田尾橋を渡れば温泉街に行ける。
  そして特筆すべきは新武田尾駅の珍しさ。ホームの北半分が第一武田尾トンネル内、南半分が第二武庫川橋梁の上にある。そのホームは武庫川からかなり高い処にある。何故って? それは駅移転当時武庫川にダムが計画されていたため。その昔、陸の孤島と呼ばれていた駅周辺も今は駐車場も整備されていた。今日は珍しい体験をいくつもさせて頂きありがとう! そしてお疲れ様でした。

HP作成:冨田、 レポータ:勝川、 写真:冨田、吉川、勝川

西宮名塩駅を出発
山に囲まれ新築マンション
木之元集落に向かう
急な下り坂を通り抜けたら廃線跡へ
廃線跡のハイキングコース
景観抜群の渓谷
この辺りは線路枕木は無い
JRの注意書き
『高座岩』『人面岩』
北山第一トンネル
北山第一トンネル内
京阪電北山第一トンネル(318M)内
トンネルを出る
溝滝・なまず淵
気分は最高!
第二武庫川橋梁70M
保線用通路で橋梁を渡る
さくらの名所“たけだお”案内
長尾山第三トンネル
武田尾の町が見えた
武庫川左岸公園
武田尾の町
武田尾の土産や
新武田尾駅
武田尾駅ホーム

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