枚方の神社シリーズ 第8回
2014/3/14 取材
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【村野神社の概要】 | ||
◆所在地 | 枚方市村野本町29-1 京阪電車(交野線)村野駅 徒歩 8~10分 |
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◆境内の敷地 | 約 4,000坪 | |
◆祭神 | ・素盞嗚命(すさのおのみこと) ・櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)・・素盞嗚命の奥方 ・末社・・住吉神社(本殿の中に祀られている) 西野神社、次野神社、乾野神社、火産靈神社 金毘羅神社、稲荷神社 |
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◆創建 | ・牧野の片埜神社から分霊し、新たに神社建立 弘安2年(1279年)2月8日 ・山田神社(山之上)と同時期に分霊・創建 |
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◆主な年中行事 | ・例 祭(秋季大祭) 10月14日 ・月始祭 ・・・ 毎月 1日 ・月次祭 ・・・ 毎月15日 |
「村野神社」の参道入口 |
【村野神社の由緒】 村野神社の創立は、弘安2年(1279年)2月8日に神司・神地が定まり、新たに神社を建築し、続いて神霊を移して奉った。 大阪府神社誌によれば、弘安2年8月に牧野にある一の宮(片埜神社)の分霊を勧請したと記されている。第7回で紹介した、山之上の山田神社と同時期に分霊・建立されおり、祭神や神紋など共通する点が多くある。この頃の経緯や由緒、末社の説明などは、大正9年に作成され保存されている冊子(写真参照)に、克明に書かれている。京都の八坂神社と縁が深く、「清々会」のメンバーであり祭神、神紋(写真のように2つの紋がある)も同じである。 明治5年には村野村の村社となり、明治41年12月に神饌幣帛料供進社(しんせんへいはくりょうきょうしんじんじゃ・・・郷社、村社を対象に明治から終戦に至るまで勅令に基づき県令をもって県知事から、祈年祭、新嘗祭、例祭に神饌幣帛料を供進された神社)に指定されている。 祭礼に当たっては、青と白の和幣(にきて・・神に供える麻の布)を神殿に捧げ、巫女乙女は鈴鼓で天下泰平を祈った。弘安2年9月19日の祭礼には、神輿を拝殿に奉り、天野川の西に御旅所を設け、同月21日には行列をなして神輿を渡した。そして、日々お神酒や旬の物をお供えし、10月19日に神社に帰られる迄の30日間続いた。この時以来、毎年この祭礼を執り行ったと伝えられている。 村野地区は、羽衣伝説や七夕伝説などのロマンをのせて淀川に合流する天野川が、初めて枚方に流れ込む地域であるが、明治22年に亥田、藤田、釈尊寺、茄子作東町や池之宮、星ヶ丘、桜丘などが合併されて川越村になる以前は広大な地域であり、犬田城もあったとされ、磐船街道等も走りこの地は交通の要所でもあった。 村野神社は、創建以前から惟喬親王(844~879)が狩猟の時、大勢を連れて遊覧された荘園とも言われ、何らかの宮祠があった事を示唆し、親王の尊敬が厚かった事は勿論、多くの人から崇敬されていた事が伺われる。創建以降、社地および社殿の沿革等は詳かではないが、松永弾正の兵乱の時、社殿桜閣は全て消失したが、御神体に異常の無かったことを尊び、村民が一致して社殿を再建した。現在の社殿は、昭和38年10月竣工落成で鉄筋コンクリート造り、銅板葺である。そして、神宮遥拝所は本殿新築20周年記念として昭和58年10月に建立され、手水舎は平成3年12月15日に建設された。 |
鳥居から見た本殿 |
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大正9年作成の「村野神社誌」 |
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「村野神社」の神額 |
拝殿正面 |
手水舎 |
水受けに刻まれた神紋 |
愛嬌のある龍の水口 |
末社・稲荷神社 |
末社・金毘羅神社 |
伊勢神宮への遥拝所 |
御祭神の名前の神額 |
ずらっと並んだ石灯籠 |
左側より見た本殿 |
明治22年の枚方町村地図 |
新天野川橋より村野方向 |
【取材後の感想】 | |
1. | 京阪電車の駅を降り、村野神社に着くまでの周辺を散策すると、神社や寺を囲んで昔からの家と共に新興住宅も多く建っており、新旧混在で発展した町であることが解かります。現在でも正月の15日過ぎに「とんど」焼きが行われており、古い伝統もしっかり継承されている事が感じられました。 |
2. | 神社の成り立ちや、それに関連した枚方の歴史を調べて見ると、非常に興味深い出来事や人物に出会いますが、今回は枚方に一か所だけ残る高札場も見学し、歴史のロマンを感じた取材でありました。 |
3. | 村野神社の紋章を辿っていくと、京都の八坂神社と同じもので特に「木瓜・・もっこう(五瓜に唐花)」紋は一説に胡瓜の切り口のデザインだと言われており(現在は誤りとされている)、京都のこの地域では祇園祭の日には今でも胡瓜を食べない風習があることを、初めて知りました。 |
4. | 少し暖かさも感じる早春の一日でありましたが、鎮守の森に入り石段を上って本殿正面に立つと、風の音は遮られ、何時もながら身の引き締まる気がするのは不思議であります。 |
取材・写真撮影:金箱、中村、福本、坂本 HP作成:坂本 |