枚方の神社シリーズ 第4回 |
2013/1/16 取材 |
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第一、第二、第三の鳥居を潜り、歳旦祭(お正月)や昨日のどんと祭りで賑わっていた境内も静けさを取り戻した中で、社務所にて宮司の夛田保信様から懇切丁寧な説明を受けました。 尚、宮司の夛田様は、2箇所の遥拝所「菅原天満宮」(長尾峠町と高野道1丁目)もみておられます。 【菅原神社・水神神社・稲荷神社の概要】
【菅原神社(長尾)の由来】
陣屋を建てるには村おこしが必要と久貝氏の家来であった細谷善兵衛氏は戸数 13戸の村民や近隣村民を集め、彼らと共に長尾の荒野山林を開拓し新田や畑を造った。 開墾地は良い土壌で穀物の増収があり、この丘陵は「福をもたらす岡」とのことから「福岡村(※1)」と名付けたとのことである。 その後も開拓を奨励したため、近隣村落からの移入者も次第に多くなり、慶安三年(1,650年)には戸数 33戸に増加した。 「鎮守をたてて村の団結を図るが良かろう 」と京都長岡天神の分霊を受け、質素な氏神をこの地に建てたのが「菅原天神」の始まりであった。 よって菅原道真公を祭祀する。 その後年には陣屋も建ち、開梱地、戸数は増加の一途をたどる。 やがて摂社として「峠天満宮」や「高野道天満宮」また、「水神宮」「高倉稲荷大神」「皇大神宮」が順次造営された。 当初の氏神天神は藁葺き屋根の粗末なものであったためか、この間1,739年には氏神再建、1,755年拝殿再建との記録もあり、その都度、村民、氏子の力によって修復や補修を繰り返してきた。 近年になり神殿、拝殿、社務所建物は老朽化が著しく進み、改築や修繕が困難となってきた。 平成3年の年頭から神社再建の機運が高まり、氏子崇敬(すうけい)者の皆様の支援・協力により、現在のお社の造営事業が同年から始まり、平成6年3月27日に竣工した。 ※1:「福岡村」はその後「長尾村」と改称され、明治22年(1,889年)藤坂村と合併して「菅原村大字長尾」となり、昭和15年に菅原、津田、氷室の三ヶ村が合併して「津田町大字長尾」と変遷し、昭和30年に枚方市と合併し現在に至ってる。 ( 「北河内のお宮」(大阪府神社庁第三支部 平成21年発行)より抜粋)
【道真と牛(※3)】 境内の本殿前に『臥牛の像』と拝殿の左右側にも同じ『臥牛の像」がある。 道真と牛との関係は深く「道真の出生年は丑年である」「大宰府への左遷時、牛が道真を泣いて見送った」「道真は牛に乗り大宰府へ下った」「道真には牛がよくなつき、道真もまた牛を愛育した」「牛が刺客から道真を守った」「菅公の御遺骸を運ぶ途中に、車を引く牛が座り込んで、動かなくなったため、その付近の寺院、安楽寺に埋葬したが、それが道真の墓所(太宰府天満宮)でその位置は牛が決めた」など牛にまつわる伝承や縁起が数多く存在する。これにより牛は天満宮において神使(祭神の使者)とされ臥牛の像が決まって置かれている。 また牛は水神との関係が深く、古代のころ旱天(かんてん)時の雨乞いに際して生贄(いけにえ)として献げられたりしていることから、天神としての道真にも関係している。
【水神社(貴船神社)(※3)】 本殿右手にある祠。神額には『水神宮』とあり、所謂『水神さん』である。 元は本殿裏にあった2つの池の畔に祀られていたようで、18世紀末頃に今の位置に移ったという。 長尾史(※2)によれば、この祠は本社創建当時からあったといわれ、最初は「八大竜王」を祀る水天宮と呼ばれていたが、その後山城の貴船神社から分霊を勧請(かんじょう)し『貴船神社』と称するようになったとある。 神名“オカミ”は龍を意味する水神で、タカオカミは山上に降る天を司る水源の神、クラオカミは峰々から流れ降る渓流の水を司る神とされる。 平安初期の太政官符に「河内の交野郡は土地が痩せていて、ややもすれば旱魃(かんばつ)に悩まされ、その田は一年おきの耕作にしか耐えない云々 』(枚方市史)とあるように、川はあるものの平素は水の少ない涸れ川ということで水利の便が悪く、水神さんへの雨乞いは恒例行事だったという。 このような土地柄が天神を祀り水神を祀る由縁であろう。
【高倉稲荷神社(※3)】 長尾史(※2)によれば、延宝6年( 1678年)、久貝陣屋の北西隅に勧請されたもので『お陣屋稲荷』と呼ばれ、毎年初午の日には長尾以外からも多くの参詣者が集まり、氏神である神社本来の祭よりも賑やかだったという。 祭神のウカノミタマ命は、日本神話に登場する神。『古事記』では宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、『日本書紀』では倉稲魂命(うかのみたまのみこと)と表記する。 名前の「ウカ」は穀物・食物の意味で、穀物の神である。両書とも性別が明確にわかるような記述はないが、古くから女神とされてきた。伏見稲荷大社の主祭神であり、稲荷神(お稲荷さん)として広く信仰されている。
※3:上記「道真と牛」「水神社(貴船神社)」「高倉稲荷神社」の文面は、関連サイト『枚方の神社ー4』などから作成 【その他】
【取材後の感想】
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