『見学会、講演会三昧のセカンド人生』

9班 石田 清典

2015年11月10日(火)

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写真1:京コンピュータ本体
(2014年撮影)
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写真2:SPring-8展示室
(2010年撮影)

 “運動方程式が解ければ1億円”。いかにも射幸心をそそるキャッチに、下種の凡人である私は思わず目を醒ましました。2014年10月12日に開催された湯川記念講演会での出来事です。
 日本のお家芸に、素粒子物理という湯川博士が端緒を作った学問があります。もちろん私はそんな方面の素地も基礎もないのですが、何故か好奇心が刺激されます。一億円の話は、その素粒子の一つであるクォークの運動方程式を解くという問題で、解は今のところUnsolvedとあります。(http://www.claymath.org/  Millennium Problems/Yang-Mills and Mass Gapの項参照)
という訳で神戸にある理化学研究所の京コンピュータが上記問題を数値解析し、陽子の質量を見積もる予定だとのお話しでした。さっそく神戸のポートアイランドまで出かけました。老若男女が集い、熱気があふれていた記憶があります。

 5年前に定年退職し、現役時代できなかったことをやってみようと思い立ちました。初めに行ったのが兵庫県佐用郡にあるSPring-8という理化学研究所の施設でした。(https://user.spring8.or.jp/)
 山陽自動車道から分岐した播磨自動車道の終点にさしかかると、中国山地の山間にひっそりと近代的な研究都市が現れます。これが高輝度光科学研究センターです。その一角にあるSPring-8は、電子光を利用した、いわば超大型の顕微鏡で、新しい材料開発や基礎研究に利用されているとのことでした。一般公開日ではなく個人予約で訪問したにも関わらず、専門性に妥協の無い対応が大変印象に残っています。

 播磨の実験設備を見学した経験がその後、各種の見学会や、講演会に参加するようになったきっかけでした。知的好奇心という本能を満たすだけでなく、現場で観て感じて脳を働かせた後は、あたかも運動トレーニングを終えた後のように、血流が増加するのを感じます。生活に潤いと活力を生む贅沢三昧の日々を過ごしています。私が今のところ興味をもって催しに参加しているのは、毎年10月恒例の神戸医療産業都市・京コンピュータ一般公開と、同じく10月の湯川記念講演会です。                

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