タイトル(第30回)

"電波伝搬の不思議に魅せられて"(アマチュア無線)

枚方市西牧野在住 岡田茂美さん
2012年8月23日 取材


(以下の写真はクリックすると大きくなります)
遠くからでも確認できる見事な岡田邸のアンテナ 見事な計器が設置された岡田邸のシャック 手振りを交えて取材に応対される岡田さん
見事な岡田邸のアンテナ 岡田邸のシャック 岡田さん宅にて取材中

1.取材訪問
  連日猛暑の続く午後、淀川堤防近くのご自宅へ取材訪問に向かった。近づくと2階建ての屋上に写真でご覧のような巨大アンテナが目に飛び込んで来たので、迷わず訪問出来ました。そして、一歩中に入るとシャックと呼ばれる無線室が家の中央に位置していること、そしてシャックには、無線機と機材が整然と並んでいる姿に、現役時代の仕事場にあったシールドルームを思い出し懐かしさと岡田さんのアマチュア無線への思い入れが並々ならぬことに大いに驚きました。
 
2.プロフィールと動機
  松下電器(当時)への入社は1954年(昭和29年)で、無線研究所の自動制御研究室への配属だったそうです。アマチュア無線については中学時代から関心をお持ちで、短波受信機を自作され、世界各国の放送を受信し、ベリカード(受信証)を集めて喜んで居られた。そして高校生時代になって、無線従事者の国家試験が1951年6月に実施されるとの情報を入手され、1ヶ月半で電波法を丸暗記し1次試験に合格、更に2次試験の無線実験にも合格、30数名受験者の内の10数名の合格者に名を連ねられ、第2級アマチュア無線技士の資格を1952年1月に見事に取得された。その後入社10年目の1964年に、コールサイン「JA3IAS」を取得されました。職場のクラブ局「JA3YEE」は、松下無線研ハムクラブの名称で現在も活動中です。
自宅前でパラボラに挟まれて記念撮影 愛車に積んだ見事なアンテナ 移動地にてアンテナ設置中
自宅前でパラボラに
挟まれて記念撮影
愛車に積んだアンテナ 移動地にてアンテナ設置中

 1996年に定年退職され、当時枚方北支部の支部長であった、神田卓明氏(元松愛会会長)のご尽力によって、松愛会ハムクラブ(SARC)の設立に力を注がれた。現在は56名の松愛会会員が活動中とのことです。また松愛会枚方南・北支部合同の同好会である「くらわん会」でも無線連絡係を担当するなど、積極的に活動されています。
アマチュア無線のことを一般的に「ハム」と呼ばれることがありますが、正確にはアマチュア無線”家”のことだとウイキペディアに解説されています。以下の文中では「ハム」と表現しています。

3.ハムの電波と活動
  総務省のデータを見ると、ハム局は約40万局となっています。その内約8万局がJARL会員で日本(JA)の実働局だそうです。ハムに使用許可の周波数は電波法で定められており、一般的なハム局の活動は、電離層での反射を利用して遠方との交信を行うのが多いが、岡田さんが生きがいとされているのは、UHF帯とSHF帯で、電離層の恩恵がなく電波の直進性の大きい周波数を用いた遠距離通信だそうで、そこに興味を持った同好の士は、日本全国で僅か20局程度で、交信には必ず相手局が必要ですから、事前にスケジュールを合わせて、今は一年の大半を、ハムの世界に没頭している毎日で、現在は特に高い周波数(1200MHz)に絞って交信を行い、交信距離を競っているとのことです。

くらわん会の仲間と記念撮影(中央が岡田さん) 430MHz帯で47都道府県との交信証 「愛・地球博」コンテストで全国1位表彰
くらわん会の仲間と撮影 430MHz帯での47都道府県交信証 「愛・地球博」全国1位表彰

4.活動の記録
 岡田さんの極超短波帯での交信記録をご紹介しますと、下記の通り見事なものです。
@.430MHz帯
 約20年前から開始、5年間で47都道府県との交信完了。14年間かけて700の市と交信。最近F7W(デジタル音声)モードで日本新記録を更新された。(距離にして309km)
A.1200MHz帯
 約15年前から開始、現在400の市と交信。最長距離は、長崎県対馬市で約600kmですが沖縄県と北海道とは未交信。
B.2400MHz帯
 交信相手局に恵まれず遠距離通信はゼロ。コンテストで、2011年、2012年の2年連続関西地方第1位。
 以上の様に論理的に通信が不可能な地点との交信に重点を置いて、全国を写真でご覧の愛車で廻っておられます。長野県と新潟県は、全市、全郡全て廻ったそうで、交信条件の良い地形を選び高い山に登るとのことで、電波は条件設定技術だけでなく、その時の気象条件にも大きく左右されるので、刻々と変化する気象情報を常にキャッチしているということです。
 さらにJARL関西地方コンテストでは、2006年(第35回)から2010年(第39回)までの5年間連続で第1位の座をキープするなど、数々の華々しい実績を誇っておられ、また高い技術レベルを示す一例として、2009年オール千葉コンテストに参戦し、房総半島成田方向よりターンして羽田空港に降りようとする飛行機の機体を反射板として利用して、1200mHz帯で自宅シャックとの交信に成功し,千葉県外局として第1位を獲得されています。

430MHz帯で700都市と交信認定証 1200MHz帯で400都市と交信認定証 オール千葉コンテストで1200MHz帯県外局1位
430MHz帯で700都市と交信
「JARL」の認定証
1200MHz帯で400都市と交信
「JARL」の認定証
「オール千葉コンテスト」の
1200MHz帯で県外局1位

JARL関西地方コンテストで5年連続1位表彰 長野・群馬県境の地蔵峠での交信風景 香川県丸亀市沖合いの島「広島」での交信風景
「JARL関西地方コンテスト」で5年連続1位表彰 長野・群馬県境の
地蔵峠での交信風景
香川県丸亀市沖合いの島
「広島」にて3泊4日の交信風景

雨中での交信風景 長野県高ボッチ高原(交信カード) 長野県茅野市車山高原(交信カード)
雨中での交信風景 長野県高ボッチ高原(交信カード) 長野県車山高原(交信カード)

5.将来の夢
  その岡田さんが今も挑戦し夢を持っておられるのが、以前礼文島に1週間滞在され、結局交信がゼロで「貴局は本当に礼文島に行っていたのか?」と冗談交じりで 言われた事もある北海道・礼文島から沖縄・石垣島までの超遠距離交信であるとのこと。ハム仲間の応援を得て途中に能登・丹後・五島・宮古島の中継基地を設けてつなぎ、 1700kmを交信することだとお話しされる姿に底知れぬバイタリティとそのパワーを感じましたが、それもパソコン操作に堪能な奥様の内助の功あっての事と仰って居られました。 是非成功されることを願っています。
  写真提供:岡田茂美、HP作成:大熊
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