花博の瓢箪展示に感動して
10月上旬、お宅を訪問した時、部屋いっぱいに瓢箪工芸品が飾られており、大小さまざまな作品の数に圧倒されました。
石田さんが瓢箪に興味を持たれたのは、平成2年に「花と緑の博覧会」が鶴見緑地公園で開催された時で、立派で美しい「瓢箪」の展示品に感動され、ご自分でもこんな『瓢箪』を作りたいと思われたことに始まります。
1992年に枚方市のふるさと農園で、「瓢箪工芸教室」が開かれ、これに参加し、この農園でジヤンボ瓢箪や千成瓢箪など多くの種類の瓢箪を育成に携わられました。その後、自宅の庭でも大型の野菜プランターを使用し、毎年数種類を栽培されています。
瓢箪の仕上げは、現役時代にテレビのキャビネットの仕上げをしていた経験が役立っていると話しておられました。
瓢箪工芸品には、栽培と加工の二度の楽しみがある
瓢箪作りは種から育て実が出来る栽培の楽しみと、この完成した実を美しく 加工して良い作品を作る楽しみの二度味わう事が出来ます。
瓢箪工芸を始めて10年、失敗もあり良い経験を味わつてます。瓢箪の仕上がりを良くするには、良い素材の瓢を使用する事が必要です。良い瓢とは、実入りが十分で肉厚があり、そして大きな口があり形が整つており、胴には傷が無いものが良く(一ロ、二胴、三姿といわれ)美人を選ぶ条件と似ています。
土作りから始め、良い種の選定、剪定、摘果、肥料管理、病害虫対策、水やりなど毎日世話して、大きく成長するのが楽しみです。真夏には蔓が伸びて、緑の大きな葉が茂り、大きな瓢箪がぶらさがつた風情は涼しさを感じます。
懸命に育てても、年によつて果実の出来が違い、今年は冷夏で雨が多く瓢箪も不作でした。それでも30個もの瓢を収穫、形が不揃いで満足出来るものばかりではありませんが、形が悪い物でも自然な野生味のある作品も作れます。
他にはない独創的な物を作り、自分だけの世界を作りたいと大いなる希望を持つています。今後の目標は「外観の変わったものや他人が今までに作っていないものに挑戦し、これからも趣味として頑張りたい」と熱く語られました。
これから瓢箪作りをされる方のために
瓢箪作りの同好会は日本各地にありますが、日本で最も権威のあるのは滋賀県長浜市に本部がある全日本愛瓢会です。ここで発行された研究資料「瓢箪の栽培と加工」により瓢箪作りについての多くを学びました。
全日本愛瓢会本部 滋賀県長浜市元浜町 12-10 電話 0749-62-6030
ここには瓢箪装飾品も常備され、多くの珍しい瓢箪が陳列されています。
瓢箪の種の購入は
野菜種の総合発売元で福井市にある福種株式会社
福井市開発町1-33-1 電話 0776-52-1100
瓢箪の種類
大長、超首長、百成、千成、ジャンボ、アメリカ、いぼ、 だるま、台湾、鶴首、一寸豆、ジャイアント等多くの種類があります。
ひょうたんの加工
1.収穫 人工受粉させて、摘果して育てた瓢を、よく枯れた頃に収穫します。
2.入り口を切る 枝の付け根の所を包丁で切ります。口は小さい方がカッコウいいと思いがちですが、ここから中の種を出すことになるので、あまり小さくてもいけません。できあがりを考えて、切る位置と角度を決めます。切るときに、口がきれいになるように、切り口が割れたり、かけたりしないように注意します。
3.穴を開ける 切り口に、ドライバーとかドリルで穴を開けます。種をとるときに、結構大きい穴が必要になるので、ドリルなどをつかって、周りの皮を傷つけない程度に大きな穴を開けるといいです。
4.水につけて、中身を腐らせる 大きな容器にひょうたんを入れて、水を入れます。1週間から2週間くらい漬けたままです。腐ると、かなりすさまじい匂いがします。
5.種をだす ひょうたんの中身が十分腐ったら中身を出します。割りばしや針金などで、中身をかき混ぜて種を皮の内側からはずしながら、水を入れたり、振り回したりしながら、中身を出します。種を出せるくらいになると、外側の皮も溶けてはがれます。ひょうたんの表面になる部分です。きれいにこすっておきます。
6.乾燥 水切りをしてなるべく口が下を向くようにして乾燥します。すさまじい匂いがするので場所に注意です。
7.仕上げ ひょうたんが乾いて、匂いがおさまったら絵を描いたり、色を塗ったり、漆を縫ったり、ふたを作ったり紐かけなど装飾をします。
レポーター 藤江 武
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