タイトル(第17回)

"日本百名山登頂の感激を漢詩に託して"

枚方市山之上5丁目在住 井上 一さん
2008年10月9日 取材

(以下の写真はクリックすると大きくなります)
日本百名山登攀完遂記念 井上一さん
日本百名山登攀完遂記念 井上 一さん近影
    
1.取材訪問
 枚方市山之上の閑静な住宅地にある“井上 一 ”さん宅を訪問し、「日本百名山」の登攀(とうはん)と「漢詩」についてお聞きしました。
 最初に、「日本百名山」の登攀と「漢詩」の関連性について質問しました。お答は、登山の感激を記録に残すための手段として、漢詩を選んだということであり、また、漢詩を作った時の喜びと、 登頂した時の感激には、共通性があるとのことでした。登山に結びついた漢詩という大変ユニークな趣味の持ち主であることが分かりました。

2.プロフィール
 昭和10年12月生まれの現在72歳で、昭和30年に当時の松下電器産業(現パナソニック)に入社し、本社経理部証券課に配属され、情報システムを担当、 その後も一貫して情報システム畑を歩かれ、最終は当時の松下電子部品(現パナソニック エレクトロニックデバイス)の情報システム部門を平成7年12月に定年退職されました。

3.登山を始められた動機
 長い間慢性胃病を患い、この病からの脱出策を考え抜いた結果、「気持ちの良い汗」をかくことの重要性を知り、ハイキングや近隣の山々を登り、体力の増強に努めているうちに、 山の自然の美しさや登った後の爽快さにより、ストレスが汗と共に解消され、以降、健康を取り戻すと同時に山の魅力に取り付かれる様になったとのことです。

4.日本百名山(深田久弥氏選定)登頂の思い出
 登山は松下電器山岳会に所属し55歳から始め、本格的に取り組んだのは定年後からで、5〜10月の期間を中心に2ヶ月に3回のペースで、約10年間掛かって日本百名山の登頂を達成されました。
 日本百名山は、北は北海道の離島「利尻岳」から、南は九州の離島「屋久島にそびえる宮ノ浦岳」の山々で、スタートは1974年(昭和49年)8月に、鳥取県「大山」に家族と共に登ったときで、 最終の百番目は「蔵王山」に2003年(平成15年)10月に奥様と共に登頂を果たされました。登頂された山々の一つ一つは暴風雨雪に遭遇しながら登攀されたこともあって、鮮明に記憶されているとのことです。
 その「感動と艱難辛苦」の思い出をメモにし、自宅で漢詩に編集し「百名山登攀漢詩集」に収めた時の喜びは、語り尽くせない格別のものであったとのことでした。

5.漢詩について
 井上さんは高校時代から漢文がお好きで、今日の漢詩の作りの素養が当時からあったと考えられます。漢詩は中国から伝来したものですが、今は日本の方が熱心に取り組んでいるとのことです。 ご本人は最初日本漢詩会の通信教育を一年間受講し、現在は広島県呉市の漢詩の会「楓社」に所属し、故・太刀掛呂山先生を師と仰ぎ、会員として「麗嶽」(れいがく)の雅号で投稿されています。 また地元枚方市で「青楓漢詩会」に所属し代表幹事を務められ、さらに交野市で漢詩教室「星嶺漢詩会」を主催するなどのご活躍をされておられます。
日本百名山 漢詩抜粋二句


6.海外紀行(登山&旅遊)
 2003年に日本百名山全てを踏破して以後は、海外の山に目を向けられアジア地区・ヨーロッパ・アフリカ等十数国で登山を遂行し、その地における登山の感激と、 旅遊の感想を漢詩に綴っておられます。
番外編としてその一部を紹介します。
 *ネパール  2002年10月〜12月(21日間)
   カトマンズからアンナプルナ・ヒマラヤ嶺のベースキャンプまで登攀
 *マレーシア 2006年7月(5日間)
   キナバル登攀
 *アフリカ   2006年10月(15日間)
   ケニア共和国 キリマンジェロへの登攀
 *チベット   2007年10月(17日間)
   カトマンズ・チョモランマ プロスキーヤの三浦雄一郎氏にホテルで会い記念撮影
 *旧満州(現在の中国東北地区) 2008年5月(6日間)2回目の中国旅行

 ハルピン・長春・大連・旅順等においては、当時の日本の持てる技術を持って、南満州鉄道を代表とする大規模なインフラ設備投資を行いましたが、これらの事には今も住民は感謝し、 好意的であった印象が残ったとのことです。

海外紀行 漢詩抜粋二句

7.終わりに
 今回は、百名山と漢詩が中心の取材となり、海外での登山については、次の機会があれば詳細に紹介したいと思います。
 健康の為に始めた登山とはいえ、その魅力に取り付かれ、漢詩の作成に情熱を傾け、両道の道を究められた 井上一氏に敬意を表したいと思います。 定年後は国内から海外に軸足を移され、長期間の海外旅行で出費も重なりながらも、ここまで登山と漢詩に集中できたのは、奥様の多大な理解と支援があったからだとのことです。 これからもお元気で、夫婦円満に登山と漢詩の道に進まれることをお祈り致しております。

 取材:鬼頭、梅原、田宮、大熊  HP作成:梅原

登山の写真と漢詩本の紹介
大朝日岳山頂 三浦雄一郎氏と記念撮影 アンナブルナにて
大朝日岳山頂 三浦雄一郎氏と記念撮影 アンナブルナにて
ハルピン駅 日本百名山登攀記 星嶺漢詩会作品集
ハルピン駅 日本百名山登攀記 星嶺漢詩会作品集
青楓漢詩会作品集 漢詩集”魁星” 海外紀行漢詩集
青楓漢詩会作品集 漢詩集”魁星” 海外紀行漢詩集



戻る