日本伝統の技が詰まった京都迎賓館


白壁で囲まれた京都迎賓館

 京都迎賓館は、広大な敷地の京都御苑の一画にあります。約2年前までは、年一回約10日間のみの一般公開でしたが、2016年7月より、外交行事がない期間は、通年で一般公開されるようになりました。
 日本の歴史や文化を象徴する都市・京都に建築された京都迎賓館は、東京にある洋風の赤坂迎賓館とは対象的に、日本の伝統的技法と匠をふんだんに取り入れた和風建築として設計されています。

 京阪出町柳駅から、徒歩約15分で白壁に囲まれた迎賓館に到着し、一般は西門から入場します。建物正面玄関の扉には、樹齢700年の欅(けやき)の一枚板が使用されています。 回廊や各部屋の窓の多くには「障子」が貼られており、床板は欅(けやき)、柱は松、天井は吉野杉というように和風のしつらえとなっています。
 部屋の壁には、「綴織り」という技法で織られた縦2~3m、横8~16mの巨大な織物が飾られていたり、部屋ごとに技法を凝らした天井と照明、床にも工夫が凝らされ、舞台の扉や部屋の境界に設けられた欄間には、金箔やプラチナ箔を細い線状に切り、筆先を使って文様状に貼り付ける「截金(きりかね)」という極めて繊細な技法で装飾が施される等、日本の高度な伝統的技法がふんだんに用いられています。

 また回廊や各部屋に置かれた、行灯(あんどん)、飾り台、花器、テーブル、椅子等にも「京指物(きょうさしもの)」、「西陣織」、「漆工芸」、「螺鈿(らでん)」、「竹工芸」等の伝統的技法が用いられ、中でも「桐の間」中央の長さ12mの漆黒のテーブルは、凹凸や曇り、ムラが全くなく、鏡のように磨き上げられた光沢には、驚くと共に高度な匠の技に感銘を受けました。
 日本が世界に誇れる伝統の技がたくさん詰まった、迎賓館でした。

【 写真はクリックで拡大できます。】


欅の一枚板・正面玄関

回廊の障子と行灯

聚楽の間の椅子・飾り台・花器

夕映の間・壁を飾る綴織り

藤の間・巨大な綴織り

舞台扉の截金の文様

桐の間・鏡のような光沢の机

建物に囲まれた池と中庭

 その他の情報もここからご覧いただけます。

 (写真撮影:2018年12月) HP作成:多々納  

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