尾 長 山   国 前 寺        広島市東区山根町
 

山    門

天保11年(1840)建立
三間一戸、二階二重門、入母屋造り、本瓦葺き
(桁行 9.00m  梁間 5.45m)
 JR広島駅新幹線口東交差点より北東へ徒歩10分で国前寺に着く。日蓮宗寺院である国前寺は、「國前寺縁起」によれば、南北朝時代の始め、暦応3年(1340)に安芸の国を訪れた日蓮の弟子日像が尾長山の麓で草庵を営んでいた僧・暁忍に出会い、この時暁忍が日像に師事して暁忍寺を開いたのが始まりとされる。
 その後、江戸時代の明暦2年(1656)に、広島藩2代目藩主・浅野光晟とその妻満姫の菩提寺となり、寺号も国前寺に改称された。これを契機に本堂・庫裡などの諸堂が造営され、寺の景観が整えられたという。
 本堂は、昭和63年(1988)から平成2年(1990)にかけて解体修理が行われ、建築当時の姿に復元されたが、残された棟札によって江戸時代初期の寛文11年(1671)の建築であることが判明した。
 建物の特徴は、二重屋根を支える建物上層部を白い漆喰で塗り込めるなどして、簡素な仕上げとしているところや、建物背面に錣(しころ)葺きの屋根を持つ仏間が取り付けられていることなどが特徴とされる。
 庫裡は、史料からは建築年代を確定出来ないが、様式から見て本堂と同じ時期の建物と推測されている。現在の姿は、本堂と同じく解体修理の際に、、建築当初の姿に復元されたものである。建物の特徴は、妻入りで、錣葺き屋根や破風を漆喰で塗り込めているところにある。
 国前寺の建物は、広島藩域の中でも大規模で、代表的な近世社寺建築として価値が高く、本堂・庫裡と両者が揃って残っているのは貴重である。平成5年(1993)12月9日、国の重要文化財に指定された。また、山門及び境内地も、平成7年(1995)、市の有形文化財に指定されている。
 本堂前に建つ高さ2.32bの4基の石燈籠は、寛文11年(1671)の刻銘を持つ。
 

  本   堂  (国・重要文化財・平成5年12月)

桁行:24.0m  梁間14.0m
二重・寄棟造り、本瓦葺き 
背面仏間突出        
唐破風造り向拝一間   
(桁行 5.3m  梁間 9.8m)

 庫   裡  (国・重要文化財・平成5年12月)

桁行:17.7m  梁間:13.2m   
一重・切妻造り、妻入り、本瓦葺き
東側面庇付、正面庇        
本堂間廊下及び正面東方土塀付属

鐘   楼

明治39年(1906)再建
入母屋造り、桟瓦葺き、袴腰付
(桁行 3.39m  梁間 2.55m)