☆第48回 かにグルメ冬の旅 |
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山陰海岸国立公園の竹野町に北前船で財をなした住吉屋の歴史と |
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〔平成22年(2010) 2月25日(木)〕 参加者33名 |
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寒い時季でもあるので、屋内観光をして、季節の美味しいものを食べ、ゆっくりお話をしようと、山陰海岸国立公園の竹野町へ行った。冬の日本海方面行きは、雪や道路の凍結を心配するが、今朝は無茶暖かい。4月中旬の気温だそうだ。冬の旅と銘うっていたが、うららかな春の旅になった。 |
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第20回の出石、35回の城崎温泉・豊岡コウノトリ文化館、43回の生野銀山行きで馴染みのルートを快調に進む。今日は春のような陽気だが中国山地は灰色の冬、山襞には雪も見え、深い眠りからまだ覚めていない。 |
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《 車中より望む山肌斑(はだれ)雪 》(◆) |
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<御用地館> |
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ほぼ予定の時刻に竹野町に入り御用地館に着いた。この土地の昔からの呼び名から、御用地館と書いて「おようじかん」と愛称されている建物である。ここに今日見学する「住吉屋歴史資料館」と「仲田光成記念館」がある。 |
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◆住吉屋歴史資料館 |
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住吉屋の名前は「大坂夏の陣」の後に、住吉大社の関係者がこの地に住み着いたことに由来する。江戸時代、竹野村の庄屋として栄え、明治になると北前船「栄寿丸」の船主として財を成し、その後も酒造、郵便局、鉱山、製罐所など手広く商売をしたとパンフレットにある。 | |
全国測量をした伊能忠敬や儒学者柴野栗山を泊めたという建物は、当時のままを復元したもので、主屋の造りは「田」の字型。障子を開け放つと一つの大広間になる。 | |
中庭にあった土蔵をギャラリーにして、住吉屋はもとより、北前船や竹野の歴史をうかがえる写真や道具備品が所狭しと展示されていて、日本海ルートの栄華を知ることができる。 | |
御用地館全景 |
仮名書碑 |
道具類 |
家紋入り鬼瓦 |
《 住吉の |
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◆仲田光成記念館 |
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竹野町出身で昭和・平成に、「百歳現役」として活躍した仮名書道の重鎮、仲田光成(こうせい)先生から、250点にも及ぶ自書の寄贈があり、御用地館内に記念館を設け、一般に公開展示しているものである。 | |
仲田光成は明治32(1899)年、兵庫県城崎郡中竹野村(現・豊岡市竹野町)に生まれ、大正8(1919)年、同郷の先輩・木崎為之先生(当時女子学習院教授)の推薦により、女子学習院に奉職。大正11(1922)年、女子学習院へ講師として出講された仮名書道の第一人者、尾上柴舟(さいしゅう)先生に出会い師事。 | |
大正13年には文部省、泰東書道院共催の書道講習会受講終了して、第68回日本美術協会展に初出品し入選を果たす。 以降、仮名書道一筋に精励し、古典を究め、鋭い線条による空間構成で、独自の大字仮名を確立すると共に、平安古筆を基礎に、現在の美意識で表現した典雅な細字作品においても、「仲田流」と称され一時代を画した。 また永年学習院に勤務し、皇室の方々のご指導にも当られた。 | |
作品の入った額の横に、仮名書の文字を普通に書いてくれている。両方を観て鑑賞する。優雅な仮名文字でありながら男性的な力強さ、薄墨に幽玄な色彩を感じる。絶妙な余白が絵画的に文字の存在を引き立てる。 |
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《 春立つ日平安古筆の仮名にふれ 》(◆) |
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《 薄墨の水茎 |
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<休暇村竹野海岸> |
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かつて自然公園の施設は、民間の有料施設、それも大半が高級な宿泊施設に偏りがちだった。このため旧厚生省により、昭和36(1961)年度から、低廉で健全な宿泊施設を中心とした総合的休養施設を、国立・国定公園内の景色や環境の良いところに整備していった。これが「国民休暇村」で現在36箇所に設置されている。 | |
その36箇所ある休暇村の中で、ここ「竹野海岸」のパンフレットには、“活いかとかにの宿”とある。新鮮な烏賊や冬季のズワイガニ料理を売りにしている休暇村である。 | |
◆昼食 |
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ズバリ「かにすき鍋コース」! 先ず、先付はたっぷりのカニ味噌。続いてカニ足と甘海老の造り、カニの天麩羅に、炭火焼き。 そして、こだわりのカニすき鍋。締めはカニ雑炊。果物のデザート。カニのフルコースを堪能した。 | |
《 友と行く二月の旅はかにグルメ 》(◆) |
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カニ味噌 |
カニの炭火焼き |
カニすき鍋 |
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至福のひととき (◇) |
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とろけるような甘さに大満足 (◇) |
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《 春浅しカニ満腹の今日の幸 》(◆) |
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◆総会 |
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昼食後、本年度最初の例会なので総会を開催。 |
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@会則の件:竹内代表より年会費制にしたことなど趣旨説明。満場一致で承認された。 |
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会計報告 (◇) |
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◆温泉入浴&散策 |
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「休暇村竹野海岸」のある但馬地方は、有名な城崎温泉など1400年もの歴史をもつ出湯の里。ここも自家源泉の天然温泉で、浴室や露天風呂からの日本海の景観が自慢である。 あまり時間がとれなかったが入浴や春を思わす日差しのなかでの周辺散策を楽しんだ。 | |
《 春の陽や湯舟に白き素肌あり 》(◆) |
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山陰海岸国立公園の景勝を背景にして (◇) |
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《 カニうましうまし温泉よき景色 よき所かし竹野海岸 》(▽) |
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<津居山港漁協フィッシャーマンズビレッジ> |
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帰途、海岸線を東進して津居山港へ向かう。山陰海岸国立公園の海岸の大部分は、山地が直接海に接する沈水海岸である。 そのためバスは山肌を縫うように蛇行する。 バスの弱い人には辛いが、見事な海食崖・海食洞・岩礁などが次々と展開する。 今日は穏やかだが、本来なら冬の荒海の時季、それも見たかったなあなどと贅沢な想いがよぎる。 | |
《 春浅き竹野海岸静まりぬ 》(◆) |
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ほどなくズワイガニのブランド品、「津居山カニ」で有名な津居山港漁協フィッシャーマンズビレッジに着いた。 ここでお土産ショッピング。 |
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新鮮な海産物を吟味して (◇) |
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津居山漁港 |
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《 津居山港漁船に春の光射す 》(◆) |
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新会則による今後の活動がハッピーであるかのように、本年度の初旅は温かい春の光に導かれた。 大阪ゆかりの人の栄華の跡を訪ね、百歳現役で故郷に錦を飾った人の作品に触れ、冬の味覚を堪能し、身も心も豊かな旅であった。 |
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<俳句>桐山俊子(◆印) <短歌>永野晴朗(▽印) <写真>竹内一朗(◇印) 永野晴朗(無印) <文>永野晴朗 |