『 近江八幡のヴォーリズ建築』

◇近江八幡は「近江商人の町として知られ、和の文化が残っていますが、町の中には洋風の建築も多く見ることが出来ます。
 これらを手掛けたのが近江八幡の最初の名誉市民、ウィリアム・メレル・ヴォーリズです。

◇彼は米国から明治38年24才の時に、県立商業学校(現・県立八幡商業高等学校)の英語教師として来日しました。
 近江八幡の地をこよなく愛し「近江八幡は世界の中心」と語り、理想郷を築こうとして生涯をこの地で過ごしました。

◇本来の目的であったキリスト教の伝道活動だけでなく、その考えに基づくメンソレータム(現メンターム)の輸入販売や、結核療養所の開設、先駆的な学校教育、出版など幅広い事業で活躍するとともに、建築家として全国各地にすぐれた建築物を残しました。

 

ヴォーリス像
 
◇ヴォーリズは建築を「キリスト教精神の表現」と捉え、住む人、使う人のことを思いやることを第一に考えていたようです
 彼の手がけた建築物の件数は明治の終わりから昭和18年まで1600棟以上に及ぶと言われています。

◆ ヴォーリズ建築の特色
 「様式のない建築」と言われています。
 奇をてらった建築ではなく「建築物の品格は、人間の人格の如く、その外装よりもむしろその内容にある」との信条で、米国建築の伝統様式と建築技術を導入し、日本の気候風土に馴染むよう応用するだけでなく、日本の伝統の良さを加え、住む人、使う人の立場で色々な工夫がなされ、快適で居心地がよく、親しみやすい建物になっています。
◆近江八幡市に点在するヴォーリズ建築
○旧市街地

ヴォーリズ記念館
(旧ヴォーリズ夫妻邸)

旧八幡郵便局舎
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現アンドリュース記念館
(旧八幡YMCA館)

近江兄弟社学園ハイド記念館
(旧清友園幼稚園)

市立資料館
(旧近江八幡警察署)

県立八幡商業高等学校
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クラブハリエ日牟禮館
(旧忠田氏邸)

八幡教会牧師館
(旧地塩寮)
   
◆池田町洋風住宅街
 米国式のモデルハウスが立ち並ぶ。米国のコロニアル・スタイル(中央に玄関、左右対称の窓、煙突、切妻屋根)という建築様式。

洋風住宅街

旧近江ミッション・ダブルハウス

旧ウォーターハウス邸

吉田邸
 
○安土地区


 旧伊庭邸


・急勾配の切妻屋根と煙突、ハーフテンバー式の外観。 内部は1階が和風、2階が洋風基調。
   
【滋賀県内の主な建築】

・堅田教会、旧水口図書館、大津教会・愛光幼稚園、今津教会会堂、旧豊郷小学校など。
 
【滋賀県以外での主な建築】

・一般的な建物…東京神田の山の上ホテル、主婦の友社、心斎橋の大丸百貨店、京都の大丸ヴィラ(旧下村邸)、神戸ゴルフ倶楽部など。
・教会…軽井沢ユニオン教会、旧神戸ユニオン教会など。
・学校…明治学院大学、関西学院大学、神戸女学院大学、同志社大学、韓国の梨花女子大学など。
   
               2011年 4月

                     (写真・取材) 近江八幡市在住   中田 一夫