「 湖南市の道標 」
【交通標識としての道標】

 道標(どうひょう、道しるべ)、道しるべ(みちしるべ)は、道路に目的地(主として大きな町)までの距離や方向を示すために設置されたもの。
 自動車交通が発展する以前に造られたものが多く、日本においては江戸時代のころに設置されたものが多い。
 設置される場所としては街道の分岐点(追分)などの路傍が多い。町中の表通りの交叉路や山中、峠に設置されることもある。

 形状としては無垢の石を四角柱状に削りだして造られたものが多いが、原型の石塊に近いものや積み石状のもの、地蔵の台座、常夜灯や燈籠に案内表示を刻んだものもある。
 旧くは木製のものが多かったとされるが耐久性に劣るため、現在多く残っているものは石造りとなっている。石材としては花崗岩が多い。

 近代以前の道標の多くは公に設置されたものは少なく、大抵はその土地の有力者によって寄進されたものが多く、裏面に寄進者の名や設置年月が刻まれていることが多い。
 明治以降のものの多くは自治体(都道府県)によって設置された。

 今回、湖南市の道標を歩いてみました。
 皆様も健康と歴史の足跡を求めて是非、歩いてみてください。
 

【道標調査票】

湖南市−@

道標名
湖南市菩提寺広野(園氏宅 庭園内)
大きさ
高さ 33Cm × 横幅 13Cm × 奥行 12Cm
かたち
自然石型
行き先と距離
右:いしべ 菩提寺(略字で書かれている)
左:正ふくじ い玉ね
建立年
不明
寄進者
不明
所在地
湖南市菩提寺広野(園氏宅 庭園内)
保存の取り組み等
住人の園様が庭石として保存されている
考察
名神高速道路が建設されていた時に家の裏に
捨てられていたのを拾って保管していた
その他
風化で文字が読みにくく文献にて確認した
   

【道標調査票】

湖南市−A

道標名
湖南市菩提寺 公共墓地入り口
大きさ
高さ 68Cm × 横幅 52Cm × 奥行 47Cm
かたち
自然石型
行き先と距離
右:八まん
左:さくら
建立年
不明
寄進者
不明
所在地
湖南市菩提寺 公共墓地入り口
保存の取り組み等

他の記念碑や老人会の梅林の一角に大切に管理されている
公営のコミュニテジハウス建設予定付近にあり、絶好の位置にあると思われる

考察
この道は野洲・蒲生方面より甲賀へ入る古い交通路であった
近辺は大規模開発地であり、当初の位置よりは少し移動の可能性もあるがほぼ近辺と推測される
その他
 
     

【道標調査票】

湖南市−B

道標名
湖南市正福寺 公民館横
大きさ
高さ 200Cm × 横幅 32Cm × 奥行 32Cm
かたち
常夜燈型
行き先と距離
右:いつミ 水口え
左:こんぴら山 是より一丁
建立年
天保七年丙申六月
寄進者
不明
所在地
湖南市正福寺 公民館横
保存の取り組み等
公民館に隣接し、保存状態も良く設置されている
考察
野洲〜岩根の旧街道沿いにあり、重要な役割を果たしていたと推察される
その他
 
   

【道標調査票】

湖南市−C

道標名
湖南市岩根(花園)思川橋詰
大きさ
高さ 74Cm × 横幅 34Cm × 奥行 22Cm
かたち
方柱型
行き先と距離
右:正ふくし半り ぼだいじーり やすいしべ道
左:田みち
建立年
不明
寄進者
不明
所在地
湖南市岩根(花園)思川橋詰
保存の取り組み等
地面がやわらかい様子で道標が沈んでいる
文字は彫が深く、読みやすい
考察

文献では高さが97Cmとなっているが、沈んで低くなっている。文字も沈んでいる部分がある
旧道にあり、歴史を感じる道標

その他
 
   

【道標調査票】

湖南市−D

道標名
湖南市岩根 常永寺境内
大きさ
高さ 82Cm × 横幅 19Cm × 奥行 12Cm
かたち
地蔵光背型
行き先と距離
右:いしべ
左:水口抜けミち
建立年
不明
寄進者
不明
所在地
湖南市岩根 常永寺境内
保存の取り組み等
境内にて他の地蔵とも含め、大切に保存されている
考察
文字は読みにくく、また他の地蔵尊とも重なり、傍らに行きにくい状態であり、住職の奥様に聞き確認した
その他
お寺の付近の公共工事の折に、他の地蔵尊とともに祀られた様子である
 

                            

                           2009年12月

                              写真・文   湖南市在住  明智 栄一