神秘的な霊山:太郎坊・阿賀神社(通称太郎坊宮)

東近江市の北、赤神山の中腹にある厄よけ・開運・商売繁盛にご利益のある神社、太郎坊を紹介します。


赤神山(太郎坊山とも呼ぶ)中腹の太郎坊宮
〔御祭神〕

 

・正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(天照皇大神の第一皇子神)が祭られている。
 
〔創立の由来〕
・神道に天台山嶽佛教と修験道の信仰とが相交わり崇高で峻厳な信仰形態のもとに今日の太郎坊信仰道が
 確立された。
      
・境内が標高350mの赤神山(太郎坊山とも呼ぶ)の中腹にあり、ここから見下ろす眺望は大変素晴らし
 く四季を通じて絶景を味わうことができる。また、この赤神山は、神体山信仰・磐境信仰の発祥の地であ
 り外観も巨大な岩石が露出しているので、見るからに神秘的な霊山である。
 地元では「太郎坊さん」と親しまれ本殿前には、数十メートルの巨岩は「夫婦岩」と呼ばれ話題となって
 いる。

・当宮は今から約1400年前の創祀と伝えられ、推古天皇の御宇聖徳太子が当地「箕作山」に瓦屋寺を建
 立した時、当大神の霊験が顕著である事を聞き、国家の安泰と万人の幸福とを祈念したと言われている。
 その後、桓武天皇の御代には最澄(伝教大師)も参籠し、赫灼としたご神徳に感銘し、五十有余の社坊を
 建立して廟社を守護させられた。この様にしてご神徳は広く啓蒙せられ、崇拝する者日に多く、あまたの
 行者が集まり修験するなど益々盛んになった。

・その後、近江の国主佐々木秀義の頃源氏破れて頼朝は東国に去り、弟義経が鞍馬山を下り奥羽の地に向う
 途次、当山に登り源氏再興を祈願したと言う伝えがあり、当時の義経の「腰掛岩」と称するものが今も残
 っている。
 再び源氏の世となり将軍頼朝及び義経上洛の時、佐々木定綱(秀義の長子)と共に当宮に幣帛を献じた。
 その後久しく佐々木氏が当宮を守護して来たが、天正年間織田氏と佐々木氏との戦いにより五十余坊あっ
 た社坊は殆ど焼失し現在 成願寺及び行万坊・石垣坊の二つを残しているのみである。
 しかし、郷土の氏子はよく守護し奉りご神徳を慕う崇敬者・修験者は続々と参拝し参籠する者が絶えなか
 った。
 世に伝えている「太郎坊の天狗」は当時の行者の姿を伝えたもので、今もなお、守護神となっている。

・参集殿は昭和48年11月に竣工し研修道場、結婚式等活用され、また神、佛、キリスト其の他の宗派の
 別なく広く各地から商売繁盛、家運隆昌、家内安全、延命息災、厄除に、特に勝運授福の神として深い信
 仰を集めている。
 また、大晦日、年始には多くの方が参拝され賑わいます。

〔参拝ルート〕
   ・太郎坊宮の参拝は国道からは、二つの鳥居をくぐり、赤神山中腹の本殿に参拝するには二つのルートがあ
 る。正面山麓の成願寺横からまっすぐに740段余の石段を登り本殿に達するのと正面山麓で右に通じて
 いるドライブウエーを通って社務所参集殿下の駐車場に着く道である。
 

近江鉄道・太郎坊宮前駅の鳥居

太郎坊宮前駅の標識

太郎坊宮前駅の近くの石碑

太郎坊宮正門の大鳥居

太郎坊宮の下にある成願寺


成願寺境内の魚霊供養碑


成願寺から真直ぐに740段余の石段を登り
本殿に達するルート

ドライブウエーを通って太郎坊宮の社務所下の
駐車場に着くルート(道の横には奉献の石碑が並ぶ)

太郎坊宮・社務所参集殿

駐車場横の祈祷殿(主に車の交通安全祈祷)

太郎坊阿賀神社由緒記の石碑

秋連歌の俳句の祖、宗祗法師が当山で詠んだ一句
〔主な詣り所〕
  ・社務所参集殿下の駐車場から石段を登って表参道(男坂)と裏参道(女坂)を通る二つの方法がある。
 本殿参拝、有名な「夫婦岩」はどちらからでも行ける。

表参道(男坂)の石段の鳥居

長楽殿(表参道)

永安殿(表参道)
  ・この竜神舎には昭和45年8月11日真夜中に1メートル余の白色の大蛇が
 この手水舎の蛇口の上に現れたことがある。
 また、この水は霊験あらたかな水として、持ち帰る参拝者も多い。
 (表参道)

竜神舎・御霊水

拝殿(表参道)当宮の主な祭事、祭典並びに団体の祈祷が執り行われる。

夫婦岩の鳥居

夫婦岩
・本殿の前に高く聳え立つ高さ数十メートルの二つの巨岩は、昔から夫婦岩といわれている。
 又、別名を「近江の高天原」とも唱えられ、その昔の神力を以って巨岩を左右に押し開きおつくりになったも
 のと伝えられている。
 又この間を通って参拝するものは、即座に病苦を除き諸願が成就されるが悪心あるものは「岩にはさまれる」
 とも言われ
 幅約80センチ長さ12メートルのこの巨岩の間を通る時は心が引締まり、一種の尊い霊感を感じる神秘的な
 存在である。

本殿(ご祭神の鎮座所)

本殿の展望台から東近江市(蒲生野)の眺望
・太郎坊の境内中の最も高所で大奥の静寂な本殿として最もふさわしい所。
 またここから見下ろす眺望は最高である。

弁財天

毘沙門天

寿老人

布袋和尚
・裏参道(女坂)の石段横に七福神が建立されている。

一願成就社(願かけ殿)
参拝者自ら願かけを行う。昭和58年11月3日建立

地主神社(生成発展・縁結びの神様)

〔絵馬殿〕  崇敬者のご奉納になった記念品(絵画が多い)五十余点が飾られている。
〔主な祭事〕
 
・例大祭 (3月24日)
  ・お田植え祭 (5月第三日曜日)
  ・千日大祭 (7月第三土・日曜日)
  ・お火焚大祭 (12月第一日曜日)

 お火焚大祭

 お田植え大祭
★巨大な岩石の露出した赤神山の中腹に「太郎坊さん」で知られている伝説とロマンに満ちた神秘的な霊山に是非
 参拝をお勧めします。
〔鎮座地及び交通アクセス〕
  ・滋賀県東近江市小脇町     
・遠方から参拝するには名神高速八日市インターより国道421号線を近江八幡に向う、又は国道8号線
 友定交差点より東近江市に向かって来るのが便利である。
・近江鉄道利用の場合は、太郎坊宮前駅下車が便利である。

参拝の道しるべ
参考文献 : 太郎坊宮社務所発行「太郎坊宮」ガイド

取材   西島庸雄  2007年8月