〜 屈指の天井川   草津川 〜

全国屈指の天井川である草津川は、人々の生活に大きな影響を与え続けてきました。
草津市域のほぼ中央を南東から北西に横断して琵琶湖に注ぐ草津川は、JR東海道本線や国道1号線がその川床の下をトンネルでくぐるという典型的な天井川です。
このような極めて特徴的な地形条件により、草津川両岸の土地はその伏流水のために排水状況の劣悪な土地となり、また普段は水が伏流し、ほとんど流れが見えないような草津川もひとたび大雨がふれば極端に増水し幾度となく堤防決壊による洪水災害をもたらしてきました。
その被害防止と草津川によって分断されている市街地開発を目的として、幅100〜140mで延長5.6kmの新川を開削し、従来の天井部分を廃川。
2002年6月14日新草津川へ水流を変え、現在の河川(新草津川)が完成。


<草津川における天井川の形成状況>

越すに越されぬ草津川

 草津宿の北を東西に流れる草津川は、中仙道を守山から、東海道を石部から草津宿に入る際に必ず渡る川です。
歌川広重の浮世絵などに描かれているように、普段は橋が架けられず、旅人が歩いて渡っていました。


<歌川広重の『東海道五十三次之内 草津』>

<歌川広重の『木曽街道六十九次 草津』>
新草津川遺跡発掘調査

 新草津川のルート上には、北萱遺跡・御倉遺跡・襖遺跡・谷遺跡・中畑遺跡・大将軍遺跡・下戸刈遺跡・柳遺跡といった縄文時代から江戸時代にかけての遺跡が存在することから発掘調査を行い、様々な時代の集落跡や墓地跡。人々が使った土器や木器など多量の遺物が出土しました。

<河川跡発掘風景>


<祭祀用ミニュチュア土器(古墳時代)>

草津川の災害状況・地域の人々の暮らし


<国道1号草津川トンネル>

<草津川トンネル>

<草津川提での砂取作業>


<草津川の馬駆け>


<草津川の氾濫>

<草津川の氾濫の復旧作業>
現在の新草津川

<新草津川>

<新草津川の上をJR琵琶湖線が走る>

<新草津川>

<新草津川の上を東海道新幹線が走る>
参考文献 草津川発掘絵巻(国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所他発行)
取材:2005年6月 杉本 守・藤本 清一